1月9日土曜日。三連休の初日、雲ひとつない青空。1月にしては暖かく感じられる絶好のお散歩日和。

　山手線徒歩1周にチャレンジしてきました。

　山手線は全29駅、路線距離34.5km。電車だと1時間で1周できるそうです。それを徒歩で行くとどうなるか。自分の目と足で確かめてきました！　どうぞご覧ください。

　＊　＊　＊　＊　＊

　携帯、デジカメ、地図、コンパス、iPod、マフラーに手袋。そしてこれがないと意味がない、ポケウォーカー。準備は万端。午前9時に自宅を出発。

　まずはスタート地点の浜松町へ電車で向かいます。普段から何気なく使うこの電車のありがたみを、今日は嫌というほど知ることになります。


　9時30分、浜松町に到着。ポケモンセンターはまだ開店前。ポケセン下のセブンイレブンで飲み物や食糧を補給。出発に備えます。

　
　ポケセン＠浜松町　9時50分　1020歩　0駅/29駅

　10時前にポケセンが開店。出発まで店内を少し見回ります。

　
　ミルクキャラメルを購入。

　疲労時にはエネルギーの摂取が不可欠！
　しかしこれで210円。貴族の食糧ですね。

　徐々に客で賑わっていく店内。
　10時になりました。さて！　冒険の始まりです。


　ポケウォーキング山手線編、スタート！


　――今晩ここにもう一度戻ってくる時、どうなっているかな。
　そんなことを考え、ポケモンセンターを後にします。

　
　山手線を左に見ながら、ビルの谷間を直進。

　まず向かうはお隣の新橋駅。
　時折、新幹線も線路を走り抜けていきます。

　山手線は駅の間隔が短く、いずれも1〜2km程度。大阪の環状線に次いで全国で2番目に短い平均駅間距離の路線です。30分あれば駅から駅へ行けるぐらい。

　しばらく線路に沿って北上していきます。
　今回は山手線を反時計回り、いわゆる内回りで進みます。

　
　新橋駅　10時20分　3554歩　1駅/29駅

　
　有楽町駅　10時45分　5520歩　2駅/29駅

　旅はまだまだ始まったばかり。ビジネス街を軽やかに通り抜けていきます。

　有楽町で信号待ち。さぁ次は東京駅だ。どのようなルートで通り抜けていこうか、と考えていたその時。

　「エクスキューズミー」

　振り向くと、外国人のおじさんが！

　相手は何やらパンフレットを持っています。どうやら道を知りたい様子。英語の教科書でしか見たことの無いシチュエーションにすこぶるテンパる私。

　「＃＄％＆〜〜」（早口の英語）

　いや、わからんわからん。全ッ然わからん。
　勇気を振り絞って「ワ、ワンスモアプリーズ」と聞き返すと

　「カブキ、カブキ」

　なるほど、歌舞伎座への道を知りたいのだと分かりました。が、あいにく私はこの辺の地理は全く知らない。「知らない」と英語で言わなければ、言わなければ、と脳味噌をフル回転させて

　ねずみ「ソ…Sorry, I can't know...」

　「オーケイ、センキュー」

　といった感じで、なんとか知らないことは伝えることができました。

　あーよかった……






　can't じゃなくて don't だった（絶望的英語力）

　おじさんが立ち去って数秒後に中1レベルの間違いに気付き、情けなくなる。義務教育で何を学んできたんだ。もうヤダ。やる気起きない。帰りたい。

　いきなりガタ落ちするモチベーション。それでも自分を奮い立たせて、旅を続行。
　そう、ポケウォーキングは色々なことがあるものなのです。（遠い目）

　
　東京駅　10時55分　6685歩　3駅/29駅

　重要文化財である赤レンガの駅舎は、大部分が工事中でした。

　
　神田駅　11時20分　8951歩　4駅/29駅


　この辺りは非常に平易。線路沿いがそのまま道なので迷うこともありません。
　さらに歩いて歩いて、神田川にかかる橋を渡ったその先。

　
　でじこの看板が見えたということは…

　
　秋葉原駅到着！　11時45分　10200歩　5駅/29駅

　色々見て回りたい気持ちもありますが、体力温存が最優先。
　オタクひしめく電気街観光もそこそこに、人込みを避けて前へ進む。

　ここで一万歩を越えました。まだまだ余裕だね！　次回へ続く。

　秋葉原の電気街を通り抜け、まだまだ旅は続く。

　出発から２時間半、まだ疲れはありませんが、団地の近くで小休憩。前回失敗した反省を生かし、ペース配分を調整。まだ全体の６分の１ほど。先は長いので焦りは禁物。

　ポケモンのミルクキャラメルを食べて、エネルギーを補給。味はやや薄め。高級志向な味だと無理矢理に解釈。

　さて、秋葉原を抜けると辿り着いたのは御徒町（おかちまち）。

　
　御徒町駅　12時00分　12622歩　6駅/29駅

　駅からほどなくして、見えてきたのはアメ横です。

　
　駅から徒歩１分。

　食品や衣類、装飾品、雑貨などなど様々な店舗が立ち並ぶ商店街。たくさんの人に加えて、客引きのおじさんやおばさんの声があちこちから聞こえる。とても賑やかな通りです。

　途中、魚屋らしき店のおじさんと目が合って、

　おじさん「にーちゃん！　明太子、明太子はどうだい！　安くしとくよ、半額でいいよ！」

　と声をかけられましが、愛想笑いだけ返しておきました。だって明太子食べられないんだもん。半額に何の魅力も感じねぇ！　おじさん、売り込む相手が悪かったね。

　＊　＊　＊

　山手線の高架を横目に、さらに進む。

　
　上野駅　12時10分　13731歩　7駅/29駅

　北関東や東北新幹線の窓口ですね。
　上野公園や動物園を見に来る人でかなり賑わっていました。

　ここから都心を外れて、自然を携えた坂道が多くなってきます。
　多摩に住んでた頃を思い出すなぁ。

　
　鶯谷駅　12時35分　15449歩　8駅/29駅

　起伏のある道を越えていくと、次に辿り着いたのは鶯谷（うぐいすだに）。非常にノスタルジックな雰囲気の駅舎と周辺の風景です。利用者数は山手線の中で最も少ないそうです。

　
　日暮里駅　13時00分　17886歩　9駅/29駅

　下町的で情緒のある街並みの日暮里。歴史のありそうな和菓子店や家々が立ち並ぶ場所です。「にっぽり」ってなかなか初見じゃ読めないよね。

　
　西日暮里駅　13時25分　20034歩　10駅/29駅

　日暮里からほどなくして、西日暮里。駅間距離は山手線最短の500メートル。ただ、歩いて行くと坂道もあるのでそんなに近くは感じなかったです。

　
　田端駅　13時40分　21467歩　11駅/29駅

　かなり田舎めいた場所、文字通り山の手にある田端駅。自動改札が3つしかなく、天下の山手線にもこんな閑散とした駅があるのか…と驚いていたら、写真と反対側の北口は普通に大きな駅舎でした。

　ここでようやくお昼ごはん。駅前のガストで30分ほど休憩、足腰を休める。
　出発から4時間、20000歩。まだ体力も足腰も問題なし。

　＊　＊　＊

　旅を続行。ひたすら歩く、歩く。そして歩く。
　線路は続くよどこまでも。山手線なのでループして。

　
　駒込駅　14時35分　24215歩　12駅/29駅

　山手線唯一の踏切は田端−駒込間にあります。
　今回は通らなかったですが。

　
　巣鴨駅　14時55分　25990歩　13駅/29駅

　この辺は正直印象が薄いです。
　山手線の駅名を列挙したら終盤まで出てこない駅でしょう。（失礼）

　
　カワイイ不動産屋ののぼりを発見。
　全日本不動産協会のラビーちゃん。

　
　大塚駅　15時25分　28001歩　14駅/29駅

　
　路面電車がやってきた。

　大塚駅前を通るこの路線は「都電荒川線」、東京都で唯一現存する路面電車だそうです。

　ここからは繁華街に入り道が複雑になっていきます。何度か道を間違えた末…


　
　池袋駅　16時05分　31080歩　15駅/29駅

　池袋に到着！

　折り返し地点を過ぎて、6時間、30000歩。

　そして、ここにきて右足のふくらはぎにわずかに痛みがある。
　ついに来たなという感じ。


　日が傾き始める。さぁ、楽しい時間は終わりだ。
　夜の新宿・渋谷・品川……これからが本当の戦い。ここはゴールのポケモンセンターから一番遠い場所。

　次回へ続く。

　池袋で大量の人混みをよけつつ、さらに歩く。歩く。ビルの谷間を抜けてしばらく歩き、見えてきたのは目白駅。

　夕日が沈む。いつもポケウォーキングをしていて思うのだが、この瞬間、何とも言えない感情に支配される。

　一日中歩いてきた後の日没。充実感が半分、これからの不安が半分。
　まぁとにかく、やることは変わらない。ただ歩き続けるだけだ。

　寒さが増してくる。マフラーを深く結び直す。大きく息を吐いて、また一歩を踏み出す。
　ポケウォーカーを握りしめて――（？）

　
　目白駅　16時35分　33581歩　16駅/29駅

　
　高田馬場駅　17時05分　36251歩　17駅/29駅

　
　新大久保駅　17時35分　38694歩　18駅/29駅

　
　新宿駅　18時00分　41330歩　19駅/29駅

　新宿に到着。とにかく人、人、人。。。3連休初日、夜の新宿。当然と言えば当然だ。人混みを避けようと地下道を選んだが、地下も変わらなかった。溢れるほど大量の人間が、それぞれ四方八方へ向かって歩いている。蛇行を余儀なくされ、体力を奪われる。

　40000歩を超えて、右ふくらはぎの痛みがはっきり分かるようになってきた。人間をよけて歩くのが非常につらい。もはや人間が障害物にしか思えなくなってくる。これがゲームの「塊魂」だったら、むちゃくちゃハイスコア出せそうである。（やったことないので適当ですが）

　やっとの思いで地上に戻る。出た瞬間、今度は寒風がお出迎え。
　でも、まだめげない。また一歩一歩、コンクリートを踏みしめる。

　
　代々木駅　18時35分　43410歩　20駅/29駅

　代々木に到着。これでやっと3分の2である。

　すでにあたりは真っ暗。
　ここから線路沿いの、何もない道をひたすら直進。景色に変化がないのは味気ないが、正しい道を行くのが最優先。

　坂を上がって下がって、歩いて歩いて。
　線路の先に明かりが見える。次の原宿駅だ。


　足早に駆け寄ろうとすると、不意に左手にある建物に違和感を覚える。……





　　！？

　　こ、これは…

　　た、

　　た、た、た、

　
　たまデパキタ―――!!!
　（注：「たまごっち」グッズ専門店）

　こんなところにたまデパがあったなんて！

　テレビCMでも見たことなかったし、全然知らなかったいやマジで。これは嬉しいアクシデンツ！
　何やらここで「たまごっちドーナツ」が買えるとのこと！
　これはぜひとも手に入れなければ！！

　いざ、突撃ィィィィィ！



　＞営業時間
　＞10:00〜18:00



　閉　ま　っ　て　る　ー　○|￣|＿


　あと1時間早く来ていれば！　くそっ！

　まぁ、また今度来よう。＞おい


　残念だったが、気を取り直して旅を再開。

　
　原宿駅　19時05分　45807歩　21駅/29駅

　
　渋谷駅　19時40分　48826歩　22駅/29駅

　
　恵比寿駅　20時25分　52329歩　23駅/29駅

　
　目黒駅　21時00分　55469歩　24駅/29駅

　出発から11時間。歩行ペースが明らかに鈍ってくる。

　たまデパで上がったテンションも、すでに使い切った。
　右ふくらはぎの痛みが尋常ではなくなってきた。

　たまらずマクドナルドに入り、休憩。

　イスに座り、ふくらはぎを伸ばすと筋肉が吊ってしまった。
　ファーストフード店で無言で悶える変人約一名である。心が折れそうになる。

　ああ、ポケモンセンターを出発したことが、遥か昔のことに思える。

　あの時は良かった…

　・
　・
　・　今日は
　・
　・　　いろいろ
　・
　・　　　あったなぁ…
　・
　・
　・
　・
　・
　・
　・
　・

　危ない！ 走馬灯が見えた。

　……そうだ。もう一度、ポケモンセンターに戻らなくては！

　よく分からない義務感を胸に、最後の冒険へ。マクドナルドを出る。
　足腰を引っ叩いて鞭を入れ、出発。

　残るは、あと5駅。

　目黒→五反田→大崎→品川→田町→浜松町

　

　ここからが最大の難所である。事前にネットで山手線ウォーカーたちの感想を調べたところ、この五反田〜田町間あたりを最も苦労したポイントとして挙げる人が多かった。

　山手線の最南端付近、ヘアピンを描いている場所。

　・坂道が多い（死にます）
　・線路沿いに道がない（迷います）
　・静まり返るビジネス街（孤独です）
　・品川〜田町間は山手線最長の駅間距離（帰りたいです）

　だが恐れるものはもう何もない。腹は決まった。

　時計を見ると、21時30分。次の五反田に着くのは22時すぎぐらいか。


　さぁ行くぞ！




　……待てよ。22時すぎ？

　これ……





　このペース、今日中にゴールできなくね？



　ポケウォーカーのカウントは、当日23時59分まで。

　次回へ続く。

　目黒→五反田→大崎→品川→田町→浜松町

　さぁ困った。現在目黒駅、あと5駅を残して21時30分。このペースだと0時までにゴールに着けない。そうすると、ポケウォーカーがゴール前に0カウントに戻ることになる。

　疲労や距離ならまだしも、まさか時間との戦いになるとは想定外だった。

　もっとも別にルールなんて存在しないわけで、後から当日分＋翌日分を足しても結果としては問題ない。ただ、そんなのは非常にきりが悪い。

　「歩いているうちに日付変わっちゃいました〜。61252と5364で、合計が、えーっと大体66000歩ぐらいでした！」

　って、なんか非常に見苦しい感じがする。ない、これはない。

　どうしたものか…

　……

　……

　……

　……

　……0時でタイムアップにしよう。

　0時でゴールできなかったら、今回は失敗だ。
　これは挑戦。命令でも惰性でもない。自らタイムリミットを設定する。

　そうと決まれば、ゆっくりしていられない。1駅30分以内がノルマだ。
　だが、足がすでに言うことを聞かない。左足は大丈夫だが右足が思うように運べない。しかも道を間違うことも許されない。休憩もわずかしか許されない。悪条件ばかりだ。

　考えてもしょうがない。とりあえず、歩く。すべきことはそれだけだ。

　目黒から五反田へ。
　まずは線路に沿うように伸びるカーブを道なりに。

　緑の電車が横を通り過ぎる。

　電車は偉大だ。こんなに遠い道のりを、少しのお金で移動できるなんて。



　　
　五反田駅　21時55分　58345歩　25駅/29駅

　五反田に到着。25分で移動できた。
　3連休初日の夜をエンジョイしているサラリーマンやカップルを横目に見ながら、次の大崎駅を目指す。

　道が線路から外れている。しかも川を挟んでいるなどして、一本道ではない。迂回する必要がある。しかし、道を間違えると時間と体力のロスにより致命傷となるので、それだけは避けなければならない。慎重に地図を確かめながら進む。

　静寂に包まれるビジネス街。大きなビルやマンションが立ち並んでいる。ただ、文明があるのに、人がいない。時々思いついたようにコンビニがあるぐらい。

　実はこの光景は見覚えがある。

　2年前、当時まだ関西住まいで東京へ観光に来た時、五反田〜大崎周辺でさんざん道に迷った。極寒の深夜に雨に降られながら。クレーンゲームで獲った重いLOVEうさぎを担いで、小一時間さまよったひどい思い出がある。自業自得なんだが。

　もしあの時の再現が起きれば、時間も気力もアウトだ。
　この道は正しい道か？　この先に大崎駅はあるのか？

　うつろな意識のまま、ただそこにある道を、歩く。

　・
　・
　・
　・

　
　大崎駅　22時25分　60252歩　26駅/29駅

　よ、よかった。道は正しかった。トラウマが再現しなかったことに安堵。

　あと3駅。次は品川だ。相変わらず時間はギリギリ。
　地図を確認して、線路に近付ける道を探す。

　
　「御殿山通り」。

　ここもひどい。急こう配の坂道だ。
　容赦なく体力を削られる。そして人っ子ひとりいない。これはつらい。

　風が冷たい。息が白い。

　数メートル先は暗闇。

　……寒い。孤独だ。

　誰かに電話でもかけたくなったが、話しているうちに道を間違うとシャレにならないので、やめておくことにした。


　無心で歩いてしばらく、見覚えのある広い道路に出る。
　第一京浜だ。

　ということは。




　
　品川駅　22時55分　63432歩　27駅/29駅

　ぬぉぉぉぉ！！（意味のない叫び）

　いける！　ここからは以前ポケウォーキングで通った道だ。
　あと1時間、勝利が見えてきた。

　かかとに痛み。靴ずれだ。バンソーコーを貼って対処。
　そして腰と左ふくらはぎにも痛みが。満身創痍になってきた。

　ただ、もう休憩は取るべきではない。ここで座る姿勢を取ったら、きっと筋肉が固まって動けなくなる。引き続き、歩く。

　
　嫌みのようにタクシーがゆっくり通り過ぎていく。

　品川から田町へ。この区間は2.2km、山手線最長の駅間距離だ。
　しかも風景に変化がなく、ただ歩き続けるだけ。将来、この区間に駅が増えるらしい。

　ポケモンキャラメルを食べる。
　そもそも薄い味だが、もはや何も味がしない。

　・
　・
　・　歩く。
　・
　・　歩く。
　・
　・

　
　歩道橋の上から、遠方に東京タワーを望む。

　歩道橋なので階段を上り下りするのだが、これがまたきつい。本当に地獄への階段だ。
　上りはもちろん、下りも足腰に響く。

　・
　・
　・　歩く。
　・
　・　歩く。
　・
　・　歩く。
　・
　・

　
　田町駅　23時35分　66736歩　28駅/29駅

　＆％＄＃〒＠！！（声にならない叫び）

　いよいよ来た。あと1駅！
　しかし時間がない！　残り25分、浜松町まで一度でも道を間違えたらアウトだ。

　…もう体がぶっ壊れてもいい。スパートをかけて、絶対に0時までにゴールする。
　足も膝も腰も関係ない！　関係ないいいいい！

　競歩のようなペースに切り替え。歩くたびに全身に響く。気を抜くと倒れそうになる。
　だが、もう少し。もう少しなんだ。

　・
　・　今日は色々あったなぁ。
　・
　・
　・
　・　有楽町で外国人に話しかけられたりもしたっけ。
　・
　・　アメ横は賑やかだったなぁ。
　・
　・　秋葉原着いたあたりはノリノリだった。
　・
　・　田端は自然が多かった。
　・
　・　たまデパはいつ行こうかなぁ。
　・
　・
　・　…色々あったなぁ。
　・
　・
　・
　・
　・

　長い。ゴールまでが、長い。



　痛い。

　寒い。

　眠い。

　・
　・
　・
　・
　・

　！



　

　うわああああああああああああん！！（泣）


　やっと……やっときた！　時刻は23時50分。ここは南口、ポケセンは北口だ。

　北口に向かって進む。


　14時間、50km弱の行程が終わる。

　もう歩かなくていい。

　もう歩かなくていいんだ。


　さぁ、ポケモンセンターよ！　このボロボロの体を癒しておくれ―――








　



　閉　ま　っ　て　る　ー　○|￣|＿


　いや、分かってたけどさ！　そこまでおバカじゃない。
　ちょっとやってみたかっただけですよ。

　なんなら出発の時からこうなるって分かってたさ。


　とにかく、

　
　ポケセン＠浜松町　23時55分　69762歩　29駅/29駅


　山手線ポケウォーキング、


　ミッションコンプリートでございますっ！！




　やっと終わった――。

　安堵と解放感に包まれ、誰もいないポケセン前の段差に座り込む私。


　次回、感動のエンディング。もう1回だけ続く。

　終わったああああああ！！

　などという高揚感、充実感は一切ない。絶望的な疲労と、「もう歩かなくていい」という解放感だけである。

　ポケセン前の段差に座り込む。終電までまだ30分ほどある。
　69762歩…よく歩いた。とりあえず休憩だ。もう一歩も歩けない。

　０時を回った。

　当たり前だが、周囲は誰もいない。

　休日の昼間など、店の前にまで人が溢れるほど混雑するポケセン。それが今は不気味なほど静かだ。なんだか不思議な光景だった。

　10分ぐらい経って、そろそろ帰るか…と立ち上がると、また足が吊ってしまった。
　再び座り込む。何をやってるんだか。

　ポケモンの前で悶えながら、こいつぁまいったなと思っていると、



　「きみ、なにしてんの」


　警備員のおじさんに見つかった。


　あはははあっははははあっははっは不審者ですねそうですね


　ねずみ「いえ、ちょっと歩けなくて休んでます」

　警備員さん「なんで歩けないの」

　ねずみ「山手線を歩いて1周したので」

　警備員さん「やまっ…」


　あの時のリアクションは一生忘れない。
　きっと何から突っ込めばいいのか分からなかったのだろう。


　警備員さん「なんでそんなことしたの」

　ねずみ「ゴクドウとおさんｐ……どれだけかかるのか興味があって」

　警備員さん「よく分からないけど、早く帰りなさい」

　ねずみ「はい」


　幸いにも見逃してもらえた。今考えるとよく通報されなかったと思う。
　きっと私の人徳がなせる業なのだろう。

　数分後、警備員さんの言いつけ通り帰路につく。ポケセン前にはエスカレータがあるのだが、あの時間でもまだ動いていた。半日以上ぶりにエスカレータに乗る。ありがたい。

　だが、家に帰るまでがポケウォーキング。

　帰りの電車（JR京浜東北線）、深夜帯なのに大変な混雑。0時半にラッシュに巻き込まれ、死体に鞭打たれる。さらに最寄り駅から自宅へ、また徒歩。普段の倍以上、40分ぐらいかかった。余計な1駅分である。途中、何度もおばあちゃんが対岸から手招きしていた。

　結局自宅に着いたのが午前1時半。
　シャワーを浴びて、ギシギシの体で就寝。

　全部含めると15時間半、計7万歩以上の旅だった。

　今回の被害状況は下記の通りである。

　・右ふくらはぎ死亡
　・左ふくらはぎ瀕死
　・左足の裏にマメ２か所
　・靴ずれ１か所
　・風邪引いた
　・全身筋肉痛

　ちなみに翌日からも2日間休みだったのだが、その2日の歩数はひどいものである。

　　大体こんな感じだ。

　満身創痍の中、動けるはずもなかった。




　だが、私がそんな状態でも、こいつは元気なのである。


　＞ゴクドウは　かまってほしそうに　こちらをみている・・・


　無理だよ。　殺す気か！　極道か！

　おしまい。