過去日記 2022年
寅年でしたがタイガースはまた優勝できませんでした。

2022/01/09(日)
#1125 ハムハム A HAPPY NEW YEAR
らくがきにっき

今年もよろしくお願いします。



2022/02/05(土)
#1126 僕らはブログを更新すべきか否か
らくがきにっき

 とりとめのない日常系ブログをとんと見なくなった。

 先日、元々オンで繋がった古い友人と会話した時、みんなブログを更新しなくなったよね、という話になった。特に不思議なことは無い。理由は様々あるだろう。

 特に、スマホ1つで手軽に報告も感情も共有できるツイッターは便利だ。どこそこへ行った、あれ食べた、昼まで寝てた、これマジで草、推しが尊い・・・。これらを伝える為だけに手間のかかるブログを使う意味は薄い。

 娯楽が多様化して、消費に時間のかかる長文が回避される時代となったことも一因だろう。

 だが、どうだろう。インスタやツイッターなどは、その簡便さと反比例して、共有したい出来事や複雑な感情のメッセージ性までも薄くなってはいまいか。手軽さとメッセージ性はトレードオフだ。簡易SNSは、微細な感情、結論の根拠、文脈や余韻、様々な要素を犠牲にして成り立っている。

 もっともそれ以前に、発信者と受け手の双方が短文に慣れてしまい、メッセージ性の強い文章を生成したり、それを読み解いたりする能力も低下しているのかもしれない。

 時代の流れと片づけるのは簡単だが、自戒も込めて、失いつつあるものを認識しておくことは必要だと感じる。


 話を戻すが、その時に会話していた友人曰く、自身もブログを更新する頻度が大幅に減ったが、更新する機会自体が減ったわけではないと。

 そして、その日も以前ならブログに書いていただろうという何気ない出来事があったと言う。

 面白いではないか。そういうのがいいのだ。
 ぜひ聞かせてくれと頼み、話を聞いた。

 以下のような趣旨の話だ。

 * * * * *

 今日はすごく寒い。
 自販機でホットコーヒーを買おうと財布を見たら、小銭が足りずコーヒーが買えなかった。

 しかし、よく見るとICカードが使用できる自販機だった。やったぜ。
 ICカードをかざして念願のコーヒーを手に入れることができた。

 自販機から取り出したコーヒー、めっちゃ冷たかった。

 間違えて冷たいの買ってた。

 震えながらコーヒー一気に飲み干した。

 とほほ、風邪ひきそうだぜ〜!


 * * * * *

 という話だった。

 なんとなく、期待して聞き入った時間を返して欲しいと思ったので、きっとブログには投稿しなくて正解だったのだろう。難しいものである。



2022/03/07(月)
#1127 リメンバー・ハムハムバースデー
らくがきにっき

 ハムちゃんずの誕生日、めっちゃ忘れててやべぇ。

 ハムちゃんずの各キャラには誕生日がある。例えば、ハム太郎とかぶるくんは8月6日。リボンちゃんは7月10日。「とっとこハム太郎」ファンならば、そらで全て言えることが1つのステータスであろう。

 私も以前は全て憶えていたつもりだったが、時間が経つにつれ記憶にほころびが出始めている。マフラーちゃんは9月の……あれ? 10月って誰の誕生日だっけ? のっぽくんは……えー……といった具合だ。完全にの脳の衰えである。元々少ない脳細胞が準絶滅危惧種に指定されている。

 これではいけない。仮にもハムサイトの管理人たるもの、知識も十分に備えていなければならない。専門家の専門家たるゆえんは、深い見識に先立つ豊富な知識量である。

 思い返せば当サイトも開設当初は「ハムちしき」というコンテンツ名で、ハム太郎に関するデータベース的なものを取り扱っていた。初心に返って基礎知識を復習しようと思う。

 そういうわけで、ハムちゃんずの誕生日を一覧にまとめてみた。

ハム太郎 ハム太郎8月6日
リボンちゃん リボンちゃん7月10日
こうしくん こうしくん5月3日
タイショーくん タイショーくん9月21日
まいどくん まいどくん2月18日
めがねくん めがねくん10月11日
マフラーちゃん マフラーちゃん9月16日
ちび丸ちゃん ちび丸ちゃん3月3日
のっぽくん のっぽくん11月5日
かぶるくん かぶるくん8月6日
トラハムくん トラハムくん6月6日
トラハムちゃん トラハムちゃん6月6日
ねてるくん ねてるくん1月14日
パンダくん パンダくん4月8日
トンガリくん トンガリくん12月12日

 ここまではハム太郎ファンならば基礎知識である。(忘れてた癖に言う)

 ちなみに、往年の名曲「200%のジュモン」の歌詞「テルーネイドーマ……」は誕生日順になっていることも付記しておこう。(YouTubeリンク

 続いて、サブキャラのハムちゃんずは以下の通り。

ラピスちゃん ラピスちゃん7月9日
ラズリーちゃん ラズリーちゃん9月7日
くるりんちゃん くるりんちゃん2月9日
にじハムくん にじハムくん7月24日
じゃじゃハムちゃん じゃじゃハムちゃん1月1日
ぬけないくん ぬけないくん10月10日
ナースちゃん ナースちゃん9月9日
ニンハムくん ニンハムくん2月2日
サブさん サブさん3月10日
ハナちゃん ハナちゃん3月10日
コックさん コックさん5月9日

 さらに、非公式ながら一部の情報で誕生日を確認できるハムちゃんず。

ポニーテールちゃん ポニーテールちゃん9月9日
ビスカスちゃん ビスカスちゃん7月5日?
おとどけくん おとどけくん8月12日
(配布の日)
オアシスくん オアシスくん?月6日
(日付のみ判明)
カメハムくん カメハムくん6月?日
(ふたご座)
ハム太郎カードeやTwitter等の情報を参考にしています)

 現状、確認できる範囲の情報は以上である。

 最後のほうは一部、誕生日以前にキミ誰だっけみたいなキャラもいた気がしたが、それは言わない約束である。

 これからもハムちゃんずの誕生日は積極的にお祝いしていきたい。



2022/04/13(水)
#1128 弱きことは罪かな
らくがきにっき

 ねずみちゃん(10)
 髪:濃い桃色のハーフアップ
 瞳:伏し目な濃い橙色
 特徴:計算が得意
 性格:癒し系
 鞄の小物:リコーダー
 持ち物:防犯ブザー


 診断メーカー 女子小学生になってみた

 阪神タイガースが負けすぎて現実逃避した結果、愚にもつかない診断メーカーに手を出してしまいました。もうなんか色々ダメです。



2022/04/25(月)
#1129 世界一遅い「ピカチュウの逆襲」レビュー
らくがきにっき

 念願の「ピカチュウの逆襲」を入手し、読み終えた。

 これは、1997年に発生したポケモンショックを題材として刊行された、20年以上前の書籍だ。
 異様で怪しげな存在感を放つ表紙とタイトル。当時の私は、新聞の小さな広告で見つけたこの本を是が非でも手に入れたかった。しかし発行部数が希少だったのか、どの書店でも取り扱っておらず入手できなかった。

 その後もAmazonでは中古品でも数千〜数万円。Web上でのレビューもほとんど見つからない。ますます怪しい。一体どんな本なのだろう――という思いを抱き続けて約20年。

 先日Amazonをチェックすると、この「ピカチュウの逆襲」が700円足らずで出品されていた。何がきっかけか不明だが値崩れしていた。状態は中古で「可」とのことだが、全く問題ない。一も二も無く購入した。

 数日後に本が届き、手に取った。20年越しの夢が叶い、興奮と感動を覚えた。記憶が曖昧だが少し漏らしたかもしれない。

 現物は全体的に茶色く色褪せておりシミも多い。何しろ20年以上前の書籍だ、無理もない。むしろヴィンテージと表現すべきだろう。まぁ読む分には支障ない。

 ピカチュウの逆襲 確かに「可」である。


 さっそく本をめくり、数日かけて読み終えた。
 なるほど、こういう本だったか……という感想だ。

 今回は謎に満ちたこの本をレビューしてみようと思う。


 最初に言っておくと、映画「ミュウツーの逆襲」とは全く関係無い。時期的に映画公開よりこの本の発行が先であり、少なくとも本文においてパロディを意識した箇所は存在しない。


 プロローグ



 虫の知らせとでもいうのだろうか。五歳になる娘に例の「ピカチュウ、カイリュー……」の数え唄を紙に書いてもらって、それを暗記していこうとしていた。

 本書はこんな一文で始まる。当時大流行していた「ポケモン言えるかな?」を「数え唄」と呼ぶセンス、そしてこれから起こる事件をも想像させる、何とも引き付けられる冒頭ではないか。

 だがこの本は小説でも随筆でも自伝でも無い。その内容をじっくりご紹介しよう。


 著書は「宮川俊彦」氏

 宮川俊彦(みやがわとしひこ)氏は、教育研究機関に所属して大学教授、評論家などを務めておられた、作文や表現教育の第一人者。ここでは宮川先生とお呼びする。

 2014年に60歳の若さで亡くなられているが、「ピカチュウの逆襲」以外にも多数著書を発行されており、多くが作文に関するものである(Amazonリンク:宮川俊彦の作品一覧 )。
 作文・評論文と表現、技法の指導が中心の先生の著作において、本書のタイトルはかなり異色に映る。

 宮川先生自身はポケモンとの特別な繋がりは無いと思われる。ただ、事件が発生する以前に好奇心からポケモンについても興味を抱き、冒頭のようにご自身の娘さんに色々教えてもらっていたようだ。


 ポケモンショックの背景と教訓

 本書の副題は「子どもたちはポケモンパニックをどう見たか」。

 内容としては、紙面の9割以上が小中学生のポケモンショックに関する作文で構成されている。これらの作文は、ポケモンショックの発生とアニメの放送中止を受けて、学校や研究会で宮川先生の生徒たちが書いたものだ。1つ1つの作文に添削や解説は無く、子どもたちの表現を尊重する意図で、原文をほぼそのまま掲載している。

 宮川先生自身は、各章で2〜3ページほど文章を綴ってはいるが、放送中止に賛成とか子どもを守るべき、といったポケモンショック自体への意見は述べてはいない。各テーマに基づく自身の考えや、子どもたちとのやり取りを補足的に述べるに留まっている。

 全体的に本書は、ポケモンショックがいかにして発生し、放送中止に至った事実から子どもが何を感じ考えたか。そして大人が何を教訓として受け取るべきか、といったことに主眼が置かれている。その探求の手段として作文を用いている。

 当時の時代背景は、1997年。「ポケモン」というセンセーショナルな文化に子どもたちが沸き立つ中で発生したポケモンショック。ポケモンに生身で触れていた当時の子どもたちの、騒動直後の率直な意見。肯定も否定も中立も、全てが作文の形式でそのまま載せられている。作文集であり、子ども視点の社会に対する論文集といった趣だ。


 各章のタイトル

 この本は以下の8章で構成されている。

 ・ポケットモンスター(ポケモン)とは
 ・ポケモンの日
 ・ポケモンの周辺
 ・38話を再検証した
 ・モンスターを探せ
 ・ポケモン文化の探究
 ・ポケモン放映中止
 ・まぼろし


 それぞれのテーマに近い作文が掲載されている。これは宮川先生が授業や研究会の中で子どもたちに考えさせたテーマであるようだ。

 章を進むごとに、少しずつ核心に迫るような構成になっている。

 その時どうだったか、放送を見たか。
 ポケモンに熱中するのはなぜか。日常とは何か。
 38話で問題なのは、放送する側か、見る側か、それ以外か。
 モンスターとは何か。動物、道具、非実体、見えないもの、人間そのもの。
 ポケモンという文化にすがる子どもと、取り上げる大人。
 アニメの放映中止から何を学び、感じ取るか。
 子ども達が見た、または考えた「まぼろし」とは。

 もうお分かりだろうが……うん。めちゃくちゃ真面目な本だわコレ。

 正直に言えば、少し興味本位でこの本を入手した向きもあった。騒動に便乗した怪しい書籍かと疑っていた。だが蓋を開ければ大真面目過ぎる本だった。著者の宮川先生に申し訳なく思う。


 子どもたちの意見

 繰り返しになるが、本書のテーマは「ポケモンショックがどうだったか」「アニメ中止に賛成か反対か」といった観点にとどまらず、ポケモンショックを通じて、子どもたちと子どもたちを取り巻く社会がどのようなものかを考えることを目的としている。

 ・ポケモンが好き派

 単純に、事件はあったけどポケモンが好きだ、放送中止はいやだという意見。私たち大人のポケモンファンが聞いて一番安心する意見かも知れない。子どもたちにポケモンがそのような存在であって欲しい、とでも言うか。

 私はその時出かけていました。(中略)見てたら、今ごろにゅういんしてたかもしれません。でもやっぱりポケモン大すき。(小2)

 あのへんな光で何人もたおれたからって、おもしろいまんがを中止にしてしまうなんてしんじれられない。(小3)



 ・大人がおかしい派

 ポケモンのアニメを放送中止にした大人たちへの意見。子どもに良かれと思って取り上げたり、逆に与えたり、それは子どものためではなく、大人自身のためではないか。サンタクロースはなぜ無償でプレゼントをくれるのか。子どもたちから大人へ違和感と疑問を投げかけている。

 ポケモンがたった600人のためにやめなんてすごくいやです。まだ見たいこどももいるっていうのに大人にきめられてたまんないです。(小3)

 サンタは、ぼくたちまずしくない人たちにプレゼントをあげるのか。なぜ、まずしい人たちにはあげないのか、ぎもんに思う。(小5)

 よく、おとなは「〜してあげる」というが、それが本当に正解なのだろうか、子供はいろいろ体験して、幸せ、自由をつかみとるのではないだろうか、と思います。(中1)



 ・私たちがおかしい派

 ポケモンにのめりこむ子どもたち自身に原因を見出す意見。物理的な距離だけでなく、心理的な距離が近くなった結果だという見方。また、流行や人間関係からポケモンに興じる、その動機に違和感を覚える子ども。

 見方がおかしいということもあるんじゃないか。(中略)もしクライマックスの時以外にその放送を流しても、そこまでえいきょうは出なかったんではないか。(小4)

 私はポケモンパニックとはアニメにだんだんのめりこんでいき、クライマックスの十分間には、もうテレビとの距離は1メートルもなくなっているのだと思う。(小5)

 もしかしたら僕たちは、「ポケモン」という物に遊ばれているんじゃないか。(小5)



 ・テレビ局がおかしい派

 そもそもポケモンよりも有害な番組が他にあるだろう、ポケモンだけがなぜ中止されるのかという意見。

 ポケモンを中止するよりもこわい人が殺されるばんぐみを中止させた方がいいと思う。(小5)

 テレビには、殺人事件やエイリアンの番組など、アニメよりもっとしげきを受けるのが沢山あるから、ただのアニメの色や光で何人もたおれて、にん気だった番組がいっきになくなるのは、おかしい。(小4)



 ・社会がおかしい派

 より広い視点で、私たちを取り巻く社会、コミュニティにおける他者との距離、人間関係に言及して、警鐘を鳴らしている意見。

 わざわざ刺激を求めなければならない社会全体が、今一番危険だと言えないだろうか。刺激を求めることによって自分を傷つける結果を得てしまうような刺激は、本来私達が求めているものではないと思う。(高1)

 この世の魔物は形にはあらわれない。つまり形にはあらわれないもので、人間の心をあやつっているものではないだろうか。(小6)



 ・ポケモンがおかしい派

 ポケモンというコンテンツ自体に違和感を覚え、指摘する意見。また、ポケモンを前提としたコミュニティを俯瞰して見た意見。

 ポケモンはポケットモンスターをモンスターボールで捕まえる。それは人が人をゆうかいまたは殺しているんじゃないかーと思う。(小5)

 現代の子供達は皆「つかれている」のである。(中略)子供達は、仲間をつくり、集団の中でみんなと同じ事をしていようと思い、「自分」をけしていってしまうのだ。(中略)「ポケットモンスター」は、ますまず子供をつかれさせてしまうのではないか。(中1)

 ポケモンやたまごっちも、人間関係をつくる物だと思う。(中略)これを見なければ、絶対にいけない、という気持ちと、興奮しているのが頂点まで達してしまったからかもしれない。人間関係はものがないと成り立たないのかもしれない。(小6)



 タイトルの意味

 このように、実に様々な意見がある。子どもと侮るなかれ、ハッとさせられる意見も少なくない。

 そして最も気になるのが、「ピカチュウの逆襲」というタイトル。なぜこんなタイトルを付けたのか。

 直接的に言及している個所は存在しないが、手掛かりと思われる箇所が8番目の章にあたる「まぼろし」の項、著者の宮川先生による以下の記載だ。

 ポケモンはただの嘘ごとではなくなっている。既にそのパワーは社会現象まで引き起こしている。ウソごとが実体化していくのだ。誰がそれをもたらしたのだろうか。ポケモンは本当にモンスターになっていった。力を持っていった。それを誇示した。そのために反撃が始まった。

 「反撃」というキーワードが用いられているこの部分は、タイトルにつながる核心の1つであろう。

 また、タイトルに繋がるテーマを持つ子どもたちの作文も多くある。

 ポケモンがブームでなかったら、こんな事件はなかったはずだ。(小5)

 「ポケモンパニック」などというが、同士打ちではないか。自分の造りあげた“モンスター”に自分がやられてどうする。(高1)

 ポケモンパニックはポケモンというまぼろしを本当だと思い、げんじつとまぼろしがパニックしたのではないか。(小4)

 学校では、ポケモンを知らないと仲間はずれ。ポケモンのアニメを見ていないと変な目で見られる。(中略)これが裏のモンスターではないだろうか。(中1)

 ポケモンや、たまごっち、などの人気がすばらしくよかった物はだいたいパニックがおこる。(中略)それを作ったのは自分自身だ。ポケモンパニックを引き起こしたのは君の気に入った心だったのだ。(小4)

 ポケモンを見てたおれた子供たちは、赤と青の光線だけではなく、そのコンピュータの中をそうぞうしてしまったのだ。(中略)でもまぼろしというのものは、子供たちにとっては、とても大切なものです。(小5)



 あたかも主従関係が逆転したかのごとくポケモン側が攻勢に転じたことが事件の一因と見て、タイトルに位置付けたのであろう。

 しかし、なぜ「ピカチュウ」の逆襲なのかは最後まで分からなかった。これならピカチュウではなく「ポケモンの逆襲」のほうが正しく思える。むしろ「ポリゴンの逆襲」のほうがまだ正しいと言える。この辺りは大人の事情だろうか。
 あまり言いすぎると私の身が危ない気がするので、この辺にしておこう。


 ポケモンGO問題を思い出す

 本書を読み解くうちに思い出されたのが、「ポケモンGO」の問題だ。最近でこそ落ち着いているが、人気に火が付き始めた頃は「歩きスマホ」「運転中のプレイ」「不法侵入」などが社会問題に発展した。

 当時のポケモンと現在のポケモンを並列で語るのは一考が必要であるが、ポケモンが再び「モンスター」になってしまった事例として、どうにもダブって見える。

 ポケモンショックから20年以上経ち、私たちは深い知性と適切な距離感を持って生きていかないと、歴史は繰り返されてしまう危険がある。そんなことを考えた。


 最後に

 以上が、1998年に発行された「ピカチュウの逆襲」のレビューである。

 想像以上に濃密な、考えさせられることの多い書籍だった。きっと20年以上前の私がこの本を入手していたとしても、内容はほとんど理解できなかっただろう。

 それにしても、これは「ピカチュウ」と名の付く商品史上、最もポケモングッズらしくないのは間違いない。


 ここで紹介した作文はほんの一部で、他にも多くの興味深い作文が掲載されている。Amazonでは現在も中古が販売されているので、興味がある方はぜひ購入を検討して欲しい。

 特に状態が良好の一品がオススメである。(Amazonリンク)

 ピカチュウの逆襲

 これはもはや石油ショックとかのほうのポケモンショックである。



2022/05/03(月)
#1130 キミたちとの出会いは全部……
らくがきにっき

 ありがとうございます。本日をもって当サイトは開設18周年となります。

 特に感慨などはありませんし、今後の抱負などがあるわけでもありません。しかしながら、考えてみれば自分の人生における長い期間をこのサイトと共に送ってきたことになります。

 たまに昔の日記を読み返すことがあるのですが、黒歴史を通り越して何言ってるのか意味不明だったりして、時の流れを感じずにはいられません。

 黒歴史ついでに言うと、自分のハンドルネームはネット活動最初期の頃は、先日紹介した書籍に因んで「電気ネズミの逆襲」と名乗っていた時期がありました。

 よそ様のサイトのBBSにそのハンドルで書き込んでいたりもしましたが、今考えるとそんなヤバそうなハンドルの奴は即アク禁だろうと思います。自分の若さを呪うと共に、当時の管理人さんの寛大さに感謝しかありません。

 これからも電気ネズミの逆襲人生をよろしくお願いします。



2022/05/20(金)
#1131 ポケウォーキング環状線編2022 その1 〜令和の挑戦〜
らくがきにっき

 そうだ、環状線を1周しよう。

 以前からこの日記で、ポケウォーカーを持ってとにかく長距離を歩く「ポケウォーキング」なる企画を何度かやっていた。

 今回は私の地元である大阪環状線を徒歩で1周しようと思う。

 きっかけとしては、実は約10年前に大阪環状線の徒歩1周にトライしていたが、色々あってちゃんと達成できていなかった。なので、一度きちんと達成しておこうと思うに至ったのだ。早い話が、暇人の思い付きである。

 * * * * *

 大阪環状線は19駅、約22qの距離で構成されている。

 環状線

 大阪駅から時計回りに進み、大阪城やUSJの近隣をかすめてまた大阪駅に戻る。

 決して短い道のりでは無いが、東京では約40kmの山手線を徒歩で1周した経験も何度かあったので、まぁ環状線程度はさらっとリベンジしてやりますよ、という軽い気持ちで臨んだ。

 余談だがこのポケウォーキング、私自身はとても楽しんでやっていたのだが、過去に実施した際の読者の方の反応はかなり薄かった。おそらく「ただひたすら歩く」という点が自己満足過ぎて、「ふーん、お疲れ」みたいな感じになるのだろう。
 めちゃくちゃ体力を使う割に反応が薄い、当サイト屈指のコスパ劣悪コンテンツである。

 だが私は退かぬ媚びぬ省みぬの精神で、我が道を貫いてきた。今回も同様だ。全ての読者を置き去りにするつもりで突き進むことにする。ちなみに友達は少ない方だ。

 * * * * *

 大阪駅
 大阪駅 10時00分 1339歩 0駅/19駅

 西日本最大の商業都市、大阪における中心ターミナル駅。ポケモンセンターも近い。ここから梅田の各地へ繋がる地下街はその複雑さから「梅ダンジョン」と呼ばれ、新宿と双璧をなす難関地下ダンジョンとして、数多くの旅人を闇に葬っている。


 暖かな休日、天気は晴れ。コンディションは良好である。

 ポケウォーカー

 ポケウォーカーも準備OK。

 大丸前

 ポケモンセンター前だ。ここをスタート地点、およびゴール地点と設定する。

 ここから長い道のりが始まる。今日のうちに反対方向からまたここにたどり着くことを想像すると、不思議な気持ちになる。

 今日生きていても明日どうなるか分からない。今立っている場所にまた帰って来られる保証など無い。一時間先だって誰も分からない。
 未来の自分よ、無事にまたここで会えるか?――それを確かめるために、私は歩くのかも知れない。

 そんなことを考えて、ない。微塵も考えてない。書いている今適当に考えた。
 実際は、さぁ、いっくじょ〜〜!! というただの短パンハミチン小学生のノリである。


 さて、いきなりだが少し寄り道する。

 梅田センタービル

 梅田センタービル。かつてポケモンセンターオーサカがあった場所だ。ポケセンは2010年に現在の大丸13階へ移転している。
 前回の環状線徒歩1周の時はここにポケセンがあったので、現在どうなっているか見てみることにする。

 アニメイト

 うわ、アニメイトになってる。似たような店舗が入ったんだな…。

 私はオタクではないのでこういうお店のことはよく分からないが、少し店内を見回ってみた。ふむ……最近のアニメはよく分からないな……。そうか…なるほど……。オタクじゃないから分からないな……などとブツブツ言いながら30分ほど店内を物色した。


 今度こそスタートだ。

 環状線の高架下を道なりに歩くと。

 天満駅
 天満(てんま)駅 10時38分 5080歩 1駅/19駅

 高架下に下町情緒あふれる居酒屋が所狭しと並ぶ駅。総長2.6kmの日本一長い商店街「天神橋筋商店街」の最寄りでもある。発車メロディは大阪出身のaikoの「花火」。天神祭に由来する。


 最初の駅に到着。

 もし徒歩1周を反時計回りにした場合は、ちょうどゴール前に飲み屋目当ての客で賑わう天満駅が見られることだろう。今回はまだ朝も早いので人は少ない。

 源八橋

 景色は徐々に繁華街から住宅街へと変わり。
 橋を渡り進むと、ほどなくして……

 桜ノ宮駅
 桜ノ宮駅 10時55分 6552歩 2駅/19駅

 環状線最北に位置する駅。近隣の大阪造幣局では桜の通り抜けが有名。発車メロディは大阪出身の大塚愛の「さくらんぼ」。


 まだ始まったばかり。どんどん先へ進む。

 道中のディスカウントショップの店先で。

 お得情報

 とのことである。
 なんか、すごく投げやりに見えるのは私だけだろうか。

 住宅街

 少し距離がある駅区間。完全に住宅街に入り、人気もまばらだ。
 気温も上がってきて、汗ばむ陽気である。

 こうして長い距離を歩く楽しみはたくさんある。

 身近な場所でもゆっくり歩いてみると、面白そうなお店があったり、美しい自然と触れ合えたり、怪しい玩具の入荷情報を見つけたり、色々な発見がある。知らない場所ならなおさらだ。

 気になれば立ち止まればいい。確かめたらまた歩けばいい。疲れたら休めばいい。荷物もお金もいらない。必要なのはポケウォーカーと少しの好奇心。大人の散歩、それがポケウォーキングである。

 ビール茶

 まぁでも、飲み物は必要だ。
 お茶を持ってきたはずだが、持ち歩いているうちにビールに変身していた。

 街並みは徐々にまた繁華街へ。

 Hotel松屋

 約10年前の環状線徒歩1周で見かけたラブホテルがまだ健在だった。

 ただ、もう1件「おとぼけビーバー」というホテルも当時あったはずだが、今回は見つけられなかった。どうやらそちらは閉業したようだ。

 松屋

 ここにも同じ名前のラブホテルがあるな……。

 いかがわしい通りを抜けて、進むこと間もなく。

 京橋駅
 京橋駅 11時25分 9283歩 3駅/19駅

 複数の路線が乗り入れるターミナル駅。ビジネス街と飲食店や歓楽街の両面を擁する街並みは、さながら東の新橋、西の京橋といったところ。京阪電車ホーム内の売店で売られているフランクフルトが人気商品。なぜそこで売ろうと思ったのか。


 人通りが増える。人混みに飲まれると歩くペースが乱れて時間と体力のロスである。密を避けて先へ進む。

 寝屋川

 第二寝屋川

 大阪は水の都と言われている。あまり馴染みが無いが、こうして歩いてみると確かに川は多い。昔から水路を使った商売や交易が盛んだった歴史が関係しているようだ。

 大阪城公園駅
 大阪城公園駅 11時47分 11647歩 4駅/19駅

 大阪城および同名の公園の最寄り駅。周辺には大阪城ホールや水上バス乗り場などがあり、主に観光や娯楽で人が集まる。


 大阪城のお膝元にやってきた。

 大阪城

 やや遠いが、大阪城の天守閣が見える。

 大阪城公園

 暖かな日差しと、公園の緑が心地よい。

 ♪午後の風が気持ちよくて お散歩です今日は〜

 鼻歌で名曲「いつもハム&ちーず」など歌う。

 この日、大阪城公園周辺で女児向けアニメソングを口ずさむ不審な男性の目撃情報があったとか無かったとか。

 ご機嫌に公園を抜けると。

 森ノ宮駅
 森ノ宮駅 12時05分 13135歩 5駅/19駅

 大阪城公園の南東側の入口となっている駅。周辺はビジネス・娯楽・生活と3拍子揃っている上に地下鉄も通るなど色々な場所にアクセス良好で、居住地としての人気も高い。発車メロディは「森のくまさん」。


 さらに進んで。

 玉造駅
 玉造(たまつくり)駅 12時22分 14674歩 6駅/19駅

 電車の車両を模した外観の商業施設「ビエラ玉造」を擁する駅。キタやミナミなど周辺各地へのアクセスが良く利便性の高さがウリ。


 ここまで約2時間半、3分の1程度だ。ここから中盤戦といったところだろう。

 いや〜そうかー。なるほどねー。

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 疲れた。

 息が切れている。すでに足取りが重い。おかしい。
 10年前の前回は体力的には余裕だったのに……

 ――そう、10年。その歳月は、人を老いさせるには十分だろう。

 次回へ続く。



2022/05/28(土)
#1132 ポケウォーキング環状線編 その2 〜挑戦者に栄光あれ〜
らくがきにっき

 環状線徒歩1周、序盤で体力の限界。前回分はこちら

 * * * * *

 とりあえず休憩だ。お昼過ぎなので、ご飯にしよう。きっとお腹が減って力が出ないだけだ。道中のお店で好物のうどんを頂く。
 運動中の昼食としてふさわしいメニューには見えないが、うどんは神に選ばれし食物なので問題ない。とにかくエネルギーを補給して足を休める。

 ポケウォーキングをする時は毎度のことなのだが、最初は楽しいのだ。しかし、疲労を感じてくるにつれて周囲の景色も単調に映り、徐々に惰性で歩くようになる。そうすると楽しさが消えてくる。まぁ、無理して続けることも無いのだが、ここがある意味の踏ん張りどころ、自分との闘いかも知れない。

 30分ほど休憩し、再開。

 鶴橋駅
 鶴橋駅 13時10分 16771歩 7駅/19駅

 JRと近鉄電車・地下鉄が交差する乗降客の多い駅。高架下の商店街はコリアタウンになっていて、漬物を売る店や焼肉店が多く立ち並ぶ。そのため近鉄の駅のホームは焼肉の香りで充満することがある。発車メロディは「ヨーデル食べ放題」。


 鶴橋に着いた。独特な雰囲気があってとても良い場所だ。

 鶴橋商店街

 私は商店街が好きだ。店先に並ぶ商品を見て回るだけでも飽きない。

 ご時世もあって鶴橋周辺も人が減っていたが、だいぶ賑やかさが戻ってきた。浪速の商人たちが盛んに客の目を引こうと呼び込みをかける。鶴橋ではかつてから見慣れた光景が久しぶりに戻ってきて嬉しく思う。

 さらに先へ進む。

 それにしても、やはり足取りが重い。ペースが落ちてきている。空腹だけが原因ではなかったようだ……。

 激安自販機

 激安自販機。30円の怪しいサイダーが売り切れ。売り切れるのか……。

 坂道

 坂道で容赦なく体力を削られて。

 桃谷駅
 桃谷駅 13時27分 18143歩 8駅/19駅

 住宅街にある普通の駅。鶴橋に近いこともあり外国人も多く住むハイブリッド的な地域。


 さらに進んで。

 寺田町駅
 寺田町駅 13時44分 19910歩 9駅/19駅

 こちらも普通の駅だが、天王寺が近いこともあって近隣は隠れた高級住宅街。


 ふう、ようやくここまで……ってまだ半分も来てないじゃないか。

 もうヤダー! ヤダヤダヤダうわぁぁぁん!!
 道端で転がって駄々をこねる。しかし何も起こらなかった。

 嫌気がさしてきたのでまた休憩することにする。

 公園

 公園のベンチに腰掛けて、道中で買ったスポーツ新聞を広げる。

 デイリースポーツ

 そうか…またタイガースが勝ったか…。こら優勝してまうな……。

 15分ほど休んだが、重い腰が上がらない。

 私は知っている。歩き続けるより、休んだ後に歩き始める方がつらいことを。しかも長く休めば休むほどつらさは増す。

 まぁ……もうちょっとだけ頑張ってみるか……。
 ここでリタイアしてるようでは山手線の踏破など到底無理である。

 遅延魔法でも食らったかのような鈍い動きで先へ進む。

 天王寺近辺

 むむ、あべのハルカスが見えてきたということは……

 天王寺駅
 天王寺駅 14時11分 21648歩 10駅/19駅

 難波駅と並ぶミナミを代表する主要ターミナル駅。日本一高いビル「あべのハルカス」と直結している。奈良と和歌山方面への玄関口。賑やかな繁華街が並ぶ一方で、近隣には寺院に動物園や美術館、路面電車も走るなど、レトロな一面も。


 ここでようやく折り返し地点。

 出発から約4時間が経ち、ここまで21000歩。

 いや〜そうかー。なるほどねー。

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 もう無理。

 息が上がってきた。視界もぼやけてきた。足首も痛え。

 ま、ここらで潮時かな! 今日はちょっと調子が悪かっただけだね。歳のせいじゃない、気圧が低いせいだ。大阪が広すぎるせいだ。税金が高いせいだ。今日は帰ろう。やめたやめた。


 そう思って駅に向かう途中、近くの広場を通ると。

 てんしば

 人だかりができている。どうやら大道芸人が野外パフォーマンスをしているようだ。

 どうせ後は帰るだけなので、少し見ていくことにした。

 50歳ぐらいの細身のおじさんが、丸い筒と箱を4段も重ねてその上に立つアクロバットを披露しようとしている。

 小さな箱の上で不安定な足場を重ねて、慎重に立ち上がろうと試みる。何度か失敗を繰り返しながらも、観客から応援の拍手を受けて、ついに大技を成功させた。

 大道芸人のおじさんはマイクを通してこう語った。

 「この技をできる人は日本で数人だけです。私がこの技の習得に挑戦し始めたのは、45歳の時でした。始めたての頃、家の近所の公園でこの技を練習していた時は、周りの人たちは変な目で僕を見ていました。」

 「でも、ずっと諦めずに挑戦し続けた結果、今日このように皆さんから大きな拍手をもらうことができました。皆さんも何か挑戦していることがあれば、ぜひ諦めず続けてください! ありがとうございました!」








 うおおおおおん!!(号泣)

 おじさん、ありがとう。

 僕は、僕は……自分に負けてまた楽をするところだった。

 僕、分かったよ。諦めずに挑戦するよ!!(影響されやすい性格)



 リタイア寸前、大道芸人のおじさんの激励に心と体が奮い立つ。
 再び一歩を踏み出した先は、新世界。

 次回へ続く。



2022/06/03(金)
#1133 ポケウォーキング環状線編 その3 〜肉ガチャフェス〜
らくがきにっき

 環状線徒歩1周、大道芸人に勝手に励まされて後半戦。前回分はこちら

 * * * * *

 観光客で賑わう中、SHINSEKAIの凱旋門をくぐる。

 エッフェル塔

 うむ、今日もエッフェル塔が美しい。

 新今宮駅
 新今宮駅 14時44分 24440歩 11駅/19駅

 賑やかな新世界とカオスな旧世界が隣り合わせの、大阪の混沌を象徴する地。レトロな街並みが色濃く残る周辺地域は、ディープな大阪観光をするなら絶好のスポットとも言える。1000円代で宿泊できる破格のホテルは泊まると悟りが開ける。


 大阪観光のメッカである新世界。観光客が徐々に戻りつつあるのが嬉しい。すれ違う人たちへ、お前ら串かつもいいけど、どて焼きも美味いから食っておけよ――と心の中でメッセージを送る。

 今宮駅
 今宮駅 15時05分 26255歩 12駅/19駅

 環状線で最も利用客数の少ない駅。駅周辺にはニトリとコーナンがある以外はたこ焼き畑が広がっている。


 そして観光地を抜けて一気に人が減る。

 閑静な住宅街を歩いていると、ふと怪しい影が視界に入った。

 タケダハム自販機

 タケダハム自販機

 ハムの……自販機????

 なんとも珍しい。一体どれぐらい需要があるのか謎だが……ん?

 肉ガチャ

 >冒険!訳有り商品 ノンクレーム商品となります。何が出るのかな?

 に、肉ガチャだー!

 やべー、何の肉が出てくるんだこれ。天狗の肉とかゴブリンの肉とかブルーアイズホワイトドラゴンの肉とか出てくるんじゃないか。

 やるしかない。(ガチャ大好き)

 生つばを飲み込んでまず300円のガチャを回す。

 肉ガチャ

 ドスン! という重みのある音がして。

 熟成あらびきウインナー

 熟成あらびきウインナーゲット。

 今まで数々のガチャを回してきたが、リザルトで肉が降ってきたのは初めてだ。

 いちおう、普通の肉のようだ。自販機に売ってない商品なのでお得なのかどうかは分からない。まぁこのお値段だし良い肉なのだろう。

 次は500円のガチャを回す。激レア来い!!

 ドスン!!

 あらびき

 ハム

 すごい量のウインナーとロースハムをゲット。

 400円の商品が2つセットになっている。賞味期限はまだ余裕がある。見た目も悪くないし、これは結構お得だ。一応、300円分得したことになる。

 肉ガチャ、楽しい……(ガチャ大好き)

 この自販機について調べてみると、半年ほど前に近所の食肉加工会社が設置したらしい。非対面で24時間いつでも買える利便性を狙いとしたようだ。コロナ禍が生み出した変な自販機……もとい、新しいビジネス様式と言えそうだ。

 それにしたってガチャ形式はズルい。まんまとはまって買ってしまった。


 まぁ良い気分転換になった。先へ進もう。

 芦原橋駅
 芦原橋駅 15時53分 29132歩 13駅/19駅

 今宮駅に続いて利用客数の少ない駅。Web上のある調査では「環状線で降りたことのない駅」第1位に輝いてしまった。駅周辺にはケンタッキーがある以外はたこ焼き畑が広がっている。


 環状線きっての過疎地帯に入る。無心でひたすら歩く。

 大阪市浪速区

 今日だけで何本の電車とすれ違い、また追い抜かれただろう。
 電車ってやつは楽だし便利だなぁ。

 激安自販機

 また激安自販機。

 100万人が「いいね!」と言っているだと……!? すごい人気だ……
 感動したのでJAROに連絡しておいた。

 大正駅
 大正駅 16時20分 31520歩 14駅/19駅

 京セラドーム大阪の近隣駅の1つ。沖縄出身者が集まっている地域で、周辺は沖縄料理店が多い。2019年4月29日にはツイッターで「平成最後の昭和の日に大正駅で明治の『R-1』(令和)を飲む」というトレンドが発生し、駅のゴミ箱がR-1で溢れ返るなど話題になった駅。


 出発から6時間、30000歩を超えて、膝と腰がポンコツになってきた。

 いよいよ終盤戦だ。このままゴールまで行くぞ!








 ……肉が重い……。

 ガチャの成果が重くのしかかる。次回、最終回。



2022/06/11(土)
#1134 ポケウォーキング環状線編 その4 〜水の都に抱かれて〜
らくがきにっき

 大量のハムとソーセージを背負って終盤戦。前回分はこちら

 * * * * *

 大正駅を過ぎて、関西けもケット会場京セラドーム大阪を横目に先を急ぐ。

 牛乳の自販機

 ボロボロの牛乳の自販機。「故障中」の張り紙も故障中。昭和の香りがする風景である。前回のアレといい、やはり私は自販機が好きだ。

 弁天町駅
 弁天町駅 16時55分 34677歩 15駅/19駅

 天保山や海遊館へと通じる地下鉄中央線との接続駅。地下鉄側の駅は地上に駅があり、JRと折り重なる特徴的な駅構造になっている。


 健康のために1日10000歩を歩きましょう、と聞いたことがある。しかし35000歩を歩いても、3.5倍健康にはなれない。満身創痍になるだけである。世の中は非情だ。

 安治川前

 弁天町から北上したところで壁に突き当たった。

 鉄橋の上を線路だけが通り、歩行者は冷たい石の壁に阻まれて通行できなくなっている。壁の向こうは大きな川だ。

 そう、ここだ。前回の挑戦では、ここで足止めを食らって迷っているうちにタイムアップになってしまっていた。しかし今回は事前にルートを確認済だ。

 大阪市此花区

 このように大きく東へ逸れて「安治川隧道」(あじがわずいどう)と呼ばれる場所から対岸へアクセスする必要があるらしい。環状線の道中でこれほど大きく線路を外れるポイントは他にない。

 橋があるのだろうと思っていたが、いざ現地に着くと。

 安治川隧道

 えっ、何これ。怖いんですけど。

 この廃校のような怪しい建物が「安治川隧道」……? どゆこと?

 下りエレベーター

 エレベーターがある。上りではなく下りだ。乗った先は……

 地下トンネル

 川底を通る地下トンネルだった。

 ヒンヤリしていてなんとも不気味な通路だが、けっこう人も通っている。こんなところがあったのか…。水が漏れていないか不安で天井を確認する。もちろん雨漏り1つしていない。

 調べてみると、1944年に作られた全国でも珍しい川底を結ぶトンネルとのこと。れっきとした生活道路である。全長は約80メートル。ダウジングマシンを使ったらピーピーエイドとか落ちてそうだ。

 ひっきりなしに人が行き来し、自転車を押してエレベーターに乗り込む人もいるため、エレベーター内には誘導員のおじさんがいる。

 地下トンネルへの階段

 ちなみにエレベーターは午前0時から6時まで停止しており、その間は歩行者は階段から地下道へ下りて通れる。…そんな深夜にここを通る勇気があれば、だが。

 ここが「安治川隧道」。ほへー。なかなか面白い。なぜ橋を架けるのではなくわざわざ地下トンネルにしたのか調べてみれば、歴史の勉強になる…かもしれない。

 安治川隧道北側

 対岸側へ出た。

 しかしこの建物の怪しい外観、初見では怖すぎるのでどうにかした方が良いと思う。

 西九条駅
 西九条駅 17時35分 37748歩 16駅/19駅

 USJへの乗換駅であり、かつ和歌山・なんば・神戸各方面、東西南北からの交通の要所駅。でもこの駅自体の周辺はあまり何もない。


 さぁ難所を抜けてゴールが見えてきた。
 でもやることは最後まで変わらない。歩く。ただそれだけ。

 野田駅
 野田駅 17時55分 39556歩 17駅/19駅

 特筆すべきこともない普通の駅。JR「野田駅」の先には阪神電鉄「野田駅」があり、その先には地下鉄「野田阪神駅」があって、とてもややこしい。しかも結構離れている。


 福島駅
 福島駅 18時20分 41874歩 18駅/19駅

 大阪駅のお隣なのでビジネス・繁華街の両面で賑やかな駅。朝から夜まで人通りが絶えない。発車メロディは円広志の「夢想花」。回って回って……の歌詞と環状線をかけている。


 夕暮れ時を迎えた。ラスト1駅分。

 歩いて、歩いて、休んで、また歩いて。
 俺、なんでこんなことしてたんだっけ……。もう何も思い出せない。夕雲にカラスの鳴き声が響く。疲労と虚しさが押し寄せてくる。

 ゴールが近付く。疲れているはずだが、ランナーズハイと言うのかウォーキングデッドと言うのか分からないが、自然とペースが上がる。

 阪神高速下

 大阪市北区

 暮れなずむ街。ようやく長い旅が終わる。

 きめつたまごっちの宣伝を見たのがはるか昔の出来事に思える。

 今日何人の人とすれ違っただろうか。もちろん会話もしていないし顔も覚えていないけれど、その人たちと再びすれ違うことは恐らくもうないのだろう。などと意味の無いことを考える。

 冷たい鉄のジャングルを掻き分けて進んだその先に。

 大阪駅近隣

 半日前に自分が立っていた場所が見えてきた。そして。

 大阪駅
 大阪駅 18時40分 44037歩 19駅/19駅

 ポケモンセンター前

 ゴーーーール!!!!

 うおおおおおおお!!!!!










 ・・・・・・・(武蔵坊弁慶のごとく立ったまま死亡)



 華やかな祝福もない、充実感もない。
 ただただ、終わった、もう歩かなくて良いという安堵だけ。

 とりあえず近くに腰を下ろす。

 サルノリ

 あれ? 朝に見たサルノリ、今見たらゴリランダーに進化して……なかったわ。疲れすぎて幻覚見てた。

 にしても、やばかった。環状線の距離を完全になめていた。
 ちょちょっとリベンジしてやりますよと適当に始めたが、心が折れかけた。

 環状線でこんなに瀕死になってるようでは、山手線だと途中で行き倒れるな……。

 そんなことを思いながら、帰路に着く。

 * * * * *

 ポケウォーカー

 帰宅後、最終的にポケウォーカーは45602歩。よく歩いた。
 明日はきっと、コンビニに行くことすら重労働になるだろう。

 さて、風呂入って飯食って寝るべ……。



 * * * * *



 以上、ポケウォーキング環状線編、ご覧頂きありがとうございました。

 もう2度とこんなことやらん!











 肉フェス

 でも、ちょっとだけ楽しかったかな……。



2022/06/26(日)
#1135 命を燃やせ、ペンを執れ
らくがきにっき

 文章というページを作成しました。

 過去日記からピックアップした文章のアーカイブです。長らく整理をしてようやく形になりました。

 過去の文章の整理にあたっては、これまで「昔に自分が書いた日記は直視できない!」みたいな感情がありましたが、今はもう恥ずかしいを通り越して孫が描いた絵を見つめるじじいの境地に至りました。一生懸命書けておるのう……と、しわしわの笑顔で見ておりました。

 とはいえ残しておくほどの文章はなく、直近のものだけまとめています。

 唯一、ポケモンダイパ時代にGTSでビッパを100匹集めた企画だけは個人的に気に入ってたので、当時の文章を掘り起こしてまとめています。興味のある方だけご覧頂ければと思うのですが、それがなんと15年前の文章です。

 ……じゅ、15年……!? ゴフッ……! ワシはもう長くないようじゃ……。

 生きていればまたそのうちなんか追加します。



2022/07/06(水)
#1136 とっとこお留守番! ハム太郎!?
らくがきにっき

 先日、Amazonでハム太郎関連グッズを眺めていたところ。

 Amazon

 うーむ、色んな商品があるな……

 ……うん?

 Amazon

 とっとこハム太郎iPhoneケース?

 異議あり!!!!

 そっちは絶対子どもに見せたらダメなやつだ。



2022/07/13(水)
#1137 ハム太郎カードゲーム完全攻略
らくがきにっき

 友人らと石川県へ旅行することになった。

 かねてから皆で計画していたのだが、コロナ禍でのべ2年以上、片手では済まないぐらいリスケを繰り返してきた。まだ不安が取り除けない中であるが、ご時世の機運の高まりもあり決行へと至った。

 石川県へ行くのは2回目だ。どこに行くのかは友人らに一任しているのであまり承知していないのだが、どうやらポケモンセンターとやらに行くらしい。よく知らない場所だ。保護者として同伴しようと思う。(札束を握りしめながら)

 * * * * *

 ところで、旅行へ行くにあたりこんなものを入手してみた。

 ハム太郎カードゲーム

 とっとこハム太郎カードゲームである。

 皆さんもご家庭に1つはお持ちのことだろうと思う。
 私も遅ればせながら入手できた。

 このカードゲームを旅行のメンバーに無理やりやらせる……もとい、皆で楽しもうというわけである。

 しかしプリティーな見た目でも勝負事である。どのような戦いであれ男として全力を尽くし、勝利することが肝要だ。
 そこで、あらかじめルールや攻略法を研究しておこうと思う。

 ハム太郎カードゲーム

 このゲームは全60枚で構成されている。

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 ん? ちょっと待てよ……

 ハム太郎カードゲーム

 これ……

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 トラハムくん トラハムくんがいない!!

 ハム太郎カードゲーム トラハムちゃんはいるのに…。

 ガッデム! どういうことだい!? 初期ハムちゃんずは15匹で1チーム!! そんなことは赤子でも知っている絶対不変の事実だろう!? にも拘わらずなんたる鬼畜のごとき仕打ち! 責任者出てこい!! この×#◎&%@$*☆梶I!!!!(何らかのとても汚い言葉)

 なんてことだ……。こんな恐ろしいことがこの世にあるなんて……。

 少し冷静さを欠いてしまったようだ。ご容赦願いたい。
 そもそもこの違和感に開封して5秒で気付く、自分の眼力が悲しい気もするが。

 そういうわけで、理由は不明だがトラハムくんがいないことをご了承頂いた上で、このゲームを紹介したい。

 話を戻して、このゲームは全60枚で構成されている。(2回目)

 ハム太郎カードゲーム

 ・キャラクターカード 14種類×4枚=56枚
 ・スペシャルカード 2枚
 ・説明用カード 2枚


 説明用カードはゲームに使用しないので、実質は58枚である。ていうかトラハムくんを入れて15種類×4枚のほうがキリがいい気がするが…。(ネチネチ)

 そして、説明書によれば以下の4種類のゲームがプレーできる。

 (1)とっとこ!ハムちゃんずゲーム
 (2)ヒマワリつなげタネ!!ゲーム
 (3)ハムちゃんずみ〜つけたぁ!!ゲーム
 (4)あつめてへけっ!!ゲーム


 名前だけだとルールがさっぱり分からない。テンションが高いことだけ分かる。


 (1)とっとこ!ハムちゃんずゲーム

 ハム太郎カードゲーム

 【ルール】
 ・ざっくりと、UNOと類似したゲーム。
 ・同じキャラもしくは各キャラのアイテムマークを繋げていく。
 ・手札をなくせば勝ち。

 ・基礎データ(独自研究のためご参考程度)
 ハム太郎カードゲーム

 【考察】
 ・よく見るとキャラによって特性に若干の偏りがある。
 ・そのため、状況に応じて切るカードを変える判断が必要。
 ・とは言えほぼ運ゲー。知識、戦略、記憶力があっても誤差だろう。

 【総評】
 最もスタンダードなゲームモードと言える。
 「ハム太郎×リボンちゃん」「マフラーちゃん×ちび丸ちゃん」「タイショーくん×ねてるくん」などキャラ同士の関係が反映されており、カップリングの妄想が捗る点はファンにとって嬉しいところだろう。


 (2)ヒマワリつなげタネ!!ゲーム

 ハム太郎カードゲーム  ハム太郎カードゲーム

 【ルール】
 ・カードの上下左右に描かれているヒマワリのタネを繋げるゲーム。
 ・初期手札5枚。残りは山札。
 ・各プレイヤーが順に1枚ずつ、タネの数が+1もしくは-1になるように並べる。
 ・手札がなくなるか、誰も置けなくなったら最後に出した人が勝利。

 【考察】
 ハム太郎カードゲーム (長いので一部だけ表示)

 ・完全に運ゲー。ハム太郎とタイショーくんだけ強く、温存できるかがカギ。
 ・「誰も置けなくなったら最後に出した人が勝利」という謎の勝利条件。

 【総評】
 これはクソゲーかもしれない。


 (3)ハムちゃんずみ〜つけたぁ!!ゲーム

 【ルール】
 ・全てのカードを配布し、各自1枚キャラを選びカードを伏せる。
 ・順に1枚ずつ手持ちカードを場に捨てて(出して)いく。
 ・徐々に相手のキャラを絞って推理する。
 ・相手のキャラの目星がついたら、言い当てるチャレンジを各自3回可能。
 ・当てられたら負け。または手札がなくなれば勝ち。

 【考察】
 ・ほぼ運次第でゲーム性には乏しい。
 ・また集中攻撃もあるなど、ゲームバランスも紳士協定次第。
 ・賭けに出て攻めるか、待ちに徹してチャンスを伺うか、性格が出るかもしれない。

 【総評】
 これはカードゲームというよりミニゲームだろう。相手が「推し」を選んだと見るなら、一発で当てられる可能性もある。ゲームとしては大味だが割り切った面白さはある。


 (4)あつめてへけっ!!ゲーム

 ハム太郎カードゲーム

 【ルール】
 ・手札5枚のドンジャラ。
 ・手札が揃ったら「ストップ」をかけてそこで最終ターン。
 ・特定のキャラの組み合わせにより高得点あり。
 ・「へけっ!」と鳴くことで相手の捨て札を取れる。(恥ずっ!!)

 【考察】
 ・初手とツモ次第。特殊役の出来と、どこでストップをかけるかがカギ。
 ・ハム太郎とリボンちゃんは特殊役に必ず絡むので貴重。
 ・逆に言えば、敵がそれらを切ってきたらテンパイが近いと読める。
 ・ローカルルールで「どんぐり隊」や「MMぼーいず」など特殊役を増やせば、より盛り上がるだろう。

 ハム太郎カードゲーム  ハム太郎カードゲーム

 ・得点はペアで10点だが、「ひまわり組」は手札3枚で10点と効率が悪い。最悪、バラでカウントした方が高得点まである。ペアに切り替える判断も視野。

 ハム太郎カードゲーム

 ・特殊役で目を引くのは5枚使った「ちーず!」。さながら国士無双のようである。5枚使いなら普通にフルハウス(25点)を作った方が強いのだが、私は積極的にちーず!を狙いたい。なぜかって? ロマンだよ

 【総評】
 ちーずはやはり最高。


 * * * * *

 以上が「とっとこハム太郎カードゲーム」の紹介であった。

 そうは言ってもまだエアプなので、旅行で友人らが遊んでくれたら改めてレポートできればと思う。

 ハム太郎カードゲーム

 恥を捨てた者だけが勝負を制すると言っても過言では無い。
 厳しい戦いになりそうだ。



2022/07/25(月)
#1138 ピンクのマフラーの秘密
らくがきにっき

 ハム太郎カードゲームのレポートをしよう。

 前回の日記で紹介したハム太郎カードゲーム。予告通り、旅行先の石川県内の旅館で友人らとプレイした。

 この旅行メンバーは私の他に4人おり、全員がハムサイトに関わりのあるメンバーや元管理人であったので、その様子はさながらオフ会のようであった。元々そういう目的で集まったメンバーではないのだが、結果的にそうなった。(そんなことあるのかと思われるだろうが、早い話が類は友というやつだ)

 そのため皆「とっとこハム太郎」の熱心なファンであり、知識に長けていた。言わば専門家集団である。アニメの第何話でどのようなストーリーがあり、誰が初めて登場し、誰と誰がこんな会話をしていた、といったことを記憶しており、平然とそらで言ってのける。

 ハム太郎カードゲーム

 そんな彼らに、このハム太郎カードゲームにトラハムくんがいない理由を考察してもらった。それによると、トラハムくんの初登場は第11話であり、15匹の中で最も登場が遅いからではないかと分析していた。なるほど専門家の分析は的確で冷静である。一方の私はそれでも納得できずゴリラのように暴れる役割を担っていた。

 話を戻そう。

 ハム太郎カードゲームは2回だけプレーした。初めに言っておくと、麻雀で言う鳴きの時に「へけっ!」と言わなければならない激恥ずゲーム、「あつめてへけっ!」はプレーする時間が無かった。残念なような安堵したような。

 最初にプレーしたのは「とっとこハムちゃんず」ゲームだ。これはUNOのようなゲームで、それなりに楽しかった。だがUNOと異なり妨害カード的なものがないため、終始平和なゲーム展開だった。やはり無難なゲームモードという印象だ。

 次にプレーしたのが「ハムちゃんずみ〜つけたぁ!」ゲームだ。これがそこそこ白熱した。

 ハム太郎カードゲーム

 このゲームはまず、各自が手札から1枚任意のハムちゃんずを選び、場に伏せる。これが「秘密のカード」となる。そしてお互いがそれを見破ることが目的とする。順に手札のカードを切っていきながら、場と自分の手札を見て相手のハムちゃんずを絞り、探り当てる――という流れである。各自攻撃のチャンスは3回。最後まで残れば勝利だ。

 ハム太郎カードゲーム

 ゲームが開始され、カードが配付される。私は手札の中からマフラーちゃんを選び、秘密のカードとして場に伏せた。彼女は母性に溢れ、物語に癒しと平和をもたらす、ハムちゃんずの中でも指折りの優れたサブキャラであるからだ。

 全員が秘密のカードを伏せて、ゲームが開始した。

 ハム太郎カードゲーム

 開始後は数ターン、場にハムちゃんずが切られていく。徐々に選択肢が絞られるも、まだ誰も動かない静かな展開だった。

 ここで私はある作戦に出た。

 敵の一人に対して攻撃を仕掛けた。「そのカードはマフラーちゃんだ」と指定した。

 お分かりになっただろうか。
 通常、自分の伏せキャラを知られたくない心理から、どのような形であれ名前は出したくない。それを逆手に取り、対戦相手への攻撃にあえて自キャラを指定することで、逆に相手にそのキャラは無いと思わせる一種の心理戦を仕掛けた。

 この指定は外れたが、これでいい。対戦相手は私の伏せキャラをミスリードされるだろう。高度な頭脳戦だ。

 これで先制攻撃に成功した形だ。
 やはり男たるもの、いつ如何なる時も勝利せねばなら……… ん?



 「ねずみさんのカード……マフラーちゃんですね?」

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 ・
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 な・・・・



 ハム太郎カードゲーム

 ハム太郎カードゲーム

 あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!!

 まさかのカウンターで瞬殺。

 こんな・・・ ことがっ・・・
 まさに悲劇っ・・・ まさに悪夢っっ・・・・・・(ざわ・・ざわ・・)

 どうやら逆に怪しいと見られたらしく、かえって死期を早めてしまった。私の性格の悪さまで見抜かれていたようだ。生兵法は大怪我のもとである。

 早々に看破されてしまい見学になってしまった。後のことはよく覚えていない。涙がこぼれないように石川県の美しい夜空を見上げていた気がする。

 結果はともかく、このゲームはなかなか面白い。
 かなりルールが荒いところもあるが、

 ・なるべく動かずに、攻撃回数を残した方が良い
 ・敵が潰し合うのを待つ方が得
 ・4枚目となるカードは切らずに持っておく


 このあたりがセオリーと思われる。

 私がやった心理戦も、場にマフラーちゃんが3枚切れている状態であれば、ブラフとして成立していただろう。巧みに嘘を混ぜる要素がある点が面白いと感じる。ハム太郎カードでやることではない気もするが。

 * * * * *

 レポートは以上である。

 まだゲームの試行回数が少ないので研究は始まったばかりだが、今後も当サイトは「とっとこハム太郎カードゲーム」攻略研究班として活動を継続する。

 なお、研究員も募集中である。応募要件は秘密のカードを見破られても泣かない強い子だ。ぜひ来て頂きたい。



2022/08/06(土)
#1139 ファンとは極めて主観的な問題である
らくがきにっき

 自分はハム太郎のことを知らなさすぎる。

 先日の石川旅行を共にしたメンバーたちは、元々ハムサイトに関係したメンバーでもあったため、必然とハム太郎談議に花が咲いた。彼らは「とっとこハム太郎」の20年来のファンであり知識に長けていた。

 特にアニメの話をよく記憶している。キャラの細かな設定を把握し、ストーリーやセリフをスラスラと再現してのける。この日に備えて受験勉強してきたのかと思うほどだ。

 しかし、一方の私はまるでついていけなかった。「そういえばそうだったかな」「記憶にございません」「拙者は貴様らと違いオタクではござらんので知らぬ」などと意味不明な抵抗をするしかなかった。

 現在ハムサイトを運営しているのは自分だけのはずなのだが、その自分が一番置いて行かれていた。雰囲気だけで18年間サイトを運営してきたことを露呈している。

 そもそもの問題として、私はアニメのハム太郎をまだ全話見ていない。映画やOVAも同様だ。それは多分良くないことであろう。

 言い訳になるが、私はハム太郎のアニメを見始めたのが50話前後からだった。なのでそれ以前のストーリーは全ては追いかけられていない。以後の見逃しもあるだろう。DVDやサブスクなど方法はあろうが、見てしまうと勿体無い気がする、という曖昧模糊とした理由で見ていない。

 また単純に記憶力が悪いため、一度見た話はどれだけ感動しても寝たら忘れてしまう。これはハム太郎に限らない。この点も大いに関係している。

 これはもう本当のファンの方に叱られても仕方がない自覚はある。ハムサイト管理人としての適性を問われても致し方がないだろう。忸怩たる思いである。

 そんな私から一言言わせてもらいたい。

 ハッピーハムハムバースデー。



2022/08/10(水)
#1140 何の為に生きてるか考える為に生きてる
らくがきにっき

 人はいつか必ず死ぬ。命あるものいつか滅びる定めである。

 唐突にRPGでほこらにいるじじいのセリフのような導入となって、勇者の皆様のポカン顔が目に浮かぶようだが、聞いて欲しい。最近よく「死ぬまでに○○しておかないと」と考えるようになった。

 例えばいつか行ってみたいと思っていた場所に行く、食べたいと思っていたものを食べる、読みたいと思っていた漫画を読む、そういうレベルのことだ。ほこらのじじいも大したことは考えていない。

 心境が変化するきっかけが特にあったわけではない。加齢と共に徐々にその思いを抱くようになってきた。自分の死期が特に近いとは思ってはいないが、以前ほど遠いところにあるわけでもない、くらいの感覚だ。

 学生時代などは、時間が無限にあるような感覚だった。行きつくまま、思いつくままに生きていた。時間は現在からの足し算で考えていた。でも今は違う。はっきりと、自分の人生を「残り時間」として考えている。未来からの引き算だ。つまるところカウントダウン状態である。

 人はいつか必ず死ぬ。無論自分も例外ではない。それまでの有限な時間を何に使うか、極めて重要な問題である。無為に過ごすことは許されなくなる。必然と、自分の中に積み残っていた願望を潰していくことになるというわけだ。

 心残りをできるだけなくしていきたい。

 中でも、長年に渡り懸案となっている私の願望がある。
 もう20年ほどに渡り実行できずにいることがある。









 積みゲー

 この積みゲー早くなんとかしないと……。



2022/08/17(水)
#1141 実のところ、狼はきわめて社会的な動物である
らくがきにっき

 ツイッターでコミケTLを見ていると落ち着かない気持ちになる。

 先日、コミックマーケットが終了した。私は参加していない。以前関東に住んでいた時はしばしば参加していたが、約10年前に関西に引っ越してからは遠方になったこともあり、コミケは随分無沙汰をしている。

 そのため今年もツイッターで参加者たちのツイートを見ていただけなのだが、どうにも自分が参加していないコミケのツイート群を見ていると落ち着かない気持ちになるのだ。もう何年も参加していないのに、毎年そうだ。

 特に知り合いやサークル主さんがブースやアフターなどでわちゃわちゃ楽しそうにしているツイートを見ると、応援とも暖かい見守りともつかぬ、なんとも形容しがたい気持ちになる。この感情は何なのか。

 祭りに参加できなかった残念さ、または「楽しそうだな」という羨望か。あるいは集団に参加していたいという、所属欲求だろうか。色々心当たりはある。

 私は日頃から「俺は群れんのはニガテなんだ。誰ともつるまねェ」と主張し一匹狼を気取ってはいるが、実際に放置されると寂しさに耐えられず月に向かって遠吠えをするタイプだ。最も面倒臭いこじらせ系狼と言える。その気質も無関係ではなかろう。

 すでに私はオフの活動から距離を置いて隠居している身だ。そんな老兵から見れば、コミケに参加したりオフを満喫している方の様子はどこかキラキラとしている。好きなことに打ち込み、それをきっかけに人と人が繋がる。輪が広がっていく。時にはオフ特有の少しぎこちない距離感もあるだろう。全てが甘酸っぱいではないか。

 私はツイッターのコミケTLに青春群像劇を見ているのかもしれない。特に夏の暑い盛り、季節的な要素も演出を後押しする。かつての自分を重ねて、思い出の欠片を拾い集めているのだろう。この感情は落ち着かないが、それほど嫌いでもないと感じる。

 いずれにせよ、コミケに参加した皆様にはお疲れ様でしたと言いたい。

 私はちょっと崖の上に行ってきます。(月に向かって遠吠え)



2022/09/09(金)
#1142 AIと作品と人間と
らくがきにっき

 AIによる画像生成が興味深い。

 昨今「Midjourney」「Stable Diffusion」などの画像を生成するAIが登場し、人間が描いたものと遜色ない絵が自動で作ることができるそうだ。さらには先日「mimic」というAIイラスト学習ソフトのβ版が登場したが、こちらは第3者による画像の不正利用による仕組みが不十分として、1日でサービスが終了する事態となった。

 AIの参入で、アート・イラスト業界に大きな動きが起こりつつある。

 これらのサービスは、クリエイターが手がけてきた一部の領域に早晩取って代わると予想されている。クリエイターは戦々恐々、深刻な懸念となっている。実際にAIが作成した画像が美術品評会で1位を取って物議を醸したことがあったそうだ。

 AIによる画像生成については私個人の賛否は特に無いし、アートやイラストの専門的なことは分からない。

 ただ私自身は、人間が作る芸術作品にこそより価値があると考えている。

 私はお笑いが好きで、しばしば劇場に足を運んで漫才を見る。AIが漫才をしてみたら、と考える。おそらく難しいだろう。漫才は多種多様で、多くが既成概念にとらわれない新しい発想でできている。お笑いは破壊する事、逆を行くことを旨としているので、過去事例を学習するAIには、「それっぽい」ことはできても創造には直結しないだろう。

 落語ならどうか。古典落語ではストーリーが決まっていて、言わば台本があり、演者がそれをなぞる芸術だ。ストーリーを読み上げるだけならAIにも可能だろうが、これもまたAIには難しいと考える。落語は演者とストーリーが一体となってこそ、より聴衆の心を打つ芸ができる。

 落語では演目が演者の腹にしみ込むことを「噺が腹に入る」と言う。演目の経験を重ねることで、登場人物の心理や状況描写、会話の間合い、呼吸の強弱、それらを表現する技術が身に付く。とても繊細な芸だと感心する。AIがそれを表現できるようになるのは、もう少し未来の話だろう。

 漫才においても、よくできたネタを演じるだけでは笑いは生み出せない。ネタに加えて、漫才師の声と表情や仕草、さらには性格や生き様も、時には失策すらありったけ乗っけることで、大きな面白さが生まれる。それはAIにはできない芸当だ。

 漫才も落語も、人が生み出す芸術だからこそ、そこに付加価値が生まれると考えている。その点はアート・イラストも同様ではないだろうか。
 その人がどんな人生を送ってきて、どんな哲学を持ち、どんな感情を乗せて、どんな方法でそれを表現したか。作品+作者で評価する。この観点を私は持ちたいと考える。

 アート・イラストでは制作者の顔は見えづらいが、作品だけでなく「誰が作ったか」により注目し、評価する時代が来ているのかもしれないと考えている。


 なお、今回の文章は全てAIが作成している。

 それでは、また。



2022/10/18(火)
#1143 妹萌えのジャンル確立時期に関する一考察
らくがきにっき

 「妹萌え」のルーツについて考える機会があった。

 また何を言い出すのだとお思いの方もおられるだろう。どうか落ち着いて、イオンモールの駐車場ぐらい広い心を持って聞いて欲しい。

 先日オンの友人と会話している際、今夏のポケモン映画で上映された「水の都の護神 ラティアスとラティオス」の話になった。2002年の上映作品が人気投票により今年再上映された形だ。

 詳しいストーリーは省略するが、友人曰くこの作品の最大の魅力は「むげんポケモン ラティオス」の妹「ラティアス」であり、「当時まだ存在していなかった『妹萌え』の魅力を教えられた」のだそうだ。

 なるほど……と聞いていたのだが、私にとっては映画の中身より「妹萌え」のルーツのほうが興味深かった。今から約20年前、本当に「妹萌え」は存在していなかったのか?

 そこで、妹萌えの起源について少し調べてみた。こんな時ネットは便利だ。

 「妹萌え」は、古くは1980年代のあだち充先生の漫画「みゆき」、1990年代のPCゲーム「同級生」、メディアミックス作品群「シスタープリンセス」などが起源との見方があるようだ。しかし一大ジャンルとして広く認識されるには至っていない(そもそもインターネットが発達していない時代なので、当時のサブカルチャーを論ずるのは難しい)。

 そして「ラティアス」が公開された2000年代は、後半(2005年以降)になってから「けいおん!」「らき☆すた」「涼宮ハルヒの憂鬱」などのタイトルがヒットした。妹萌えの要素が主軸とはなっていないが、徐々にその基礎を形成していた時代であろう。

 その後2010年以降、ラノベ「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」「エロマンガ先生」、漫画「干物妹!うまるちゃん」などの明確に妹萌えをテーマとするヒット作が世に出た。これらが約10年前であり、属性やメソッドとしての「妹萌え」が確立され俗世に認識された時代の作品と言えるだろう。

 ざっくりとした歴史の考察ではあるが、確かに友人の言う通り、「ラティアス」当時は妹萌えの概念・ジャンルが文化として定着する途上の時代と言えそうだ。

 そして、諸君。ここで忘れてはならないのが、我らが「とっとこハム太郎」が放つ最終兵器妹「トラハムちゃん」の存在だ!(黒板を強めに叩く)

 トラハムちゃんと言えば、世話焼き、純愛、やきもち、兄への思いなど、非常に打点の高い妹キャラだ。とっとこハム太郎に造詣の深い諸氏はご存知だろうが、トラハムちゃんは作品内でも屈指の人気キャラである。もしかしたらトラハムちゃんから妹萌えに開眼した大きなお友達もいたかもしれない。

 トラハムちゃんが活躍していた時期も2000年代初頭であり、「ラティアス」と同時代。ここが妹萌えの夜明けとも言うべき、時代の重要な分岐点だ。

 ラティアスやトラハムちゃんが後世に残した功績は少なくないと確信している。

 * * * * *

 なお、今回の日記は私がハーバード大学を卒業する際に発表した卒業論文の一部から抜粋したものである。学会に衝撃を与え、ノーベル賞を総なめにしたのも懐かしい記憶だ。

 そんなに尊敬の眼差しを向けないで頂きたい。



2022/12/28(水)
#1144 M-1グランプリ2022感想
らくがきにっき

 今年もM-1グランプリを振り返る。

 毎年この振り返りをやっているが、今年はやらないつもりだった。しかしM-1が終わって1週間、心の中で振り返りが止まらない。ネタの評価、採点、審査員、演出、総括、M-1のあらゆることが頭の中をぐるぐる……。ウエストランド井口に怒られるぐらい分析をしてしまっている。
 どうやら去年までゴリゴリやってきたことを突然やめようとして体に無理が生じているようだ。このままでは精神衛生上良くない。なので、今年はシンプルに振り返ることとして、来年以降徐々にやめていくことにする。


 求められるものは突出した唯一性



 2020年マヂカルラブリー、2021年錦鯉、2022年ウエストランド。近年M-1を制しているのはいずれも突出した個性を持っているコンビばかりだ。元々M-1は新しい存在が歓迎され、目新しいシステム漫才や初出場が有利とされてきた。近年では面白いことプラスアルファ、他の誰も持っていない唯一性、独自性を伸ばしてきたコンビが選ばれている傾向にある。王道であるとか、とにかく笑わせればいいというだけではなく、ネタを通して人間が見られ、評価されているように思う。
 M-1は年々形を変えて難しくなり続けている印象だ。


 新審査員 山田邦子と博多大吉

 まず、邦ちゃんの採点についてネットが大荒れの様相ですが、個人的な意見をば。

 別に点数は何点つけても良いんです。点差も何点開いても良い。他の審査員と足並みが揃ってないのも全然かまわない。審査員に求められるのは、点数の根拠をどれだけ言語化できるかということ。単に「面白かった」「大好きです」だけでは納得感が弱い。84点のカベポスターに「面白かった」、87点のオズワルドに「辛目につけた」、95点の真空ジェシカに「笑いました」、これらの点差となった根拠の説明が欲しい。この際「好みなんです」程度でも問題ない。
 これだけM-1グランプリが怪物的なコンテンツに成長したのは、「漫才」と向き合って様々な要素を言語化してきたからに他なりません。ツカミ、発想、間、掛け合い、言葉選び、独自性、表現力、爆発力、人間力、演技力、要素は挙げればキリがない。「ここに出場してる時点で皆面白いから悪い点はあえて言う必要ない」と本人は大会後に発言していますが、マイナス点は言わなくても、プラス点を言うことはできるはず。命懸けで勝負に挑んで敗退する芸人が成仏できる言葉が聞きたいんですよね。そういう意味では、不満と言わざるを得ない。

 だからと言って審査員を降りて欲しいかと言われればそうではないです。これだけ審査員に笑いに精通した重鎮がいる中で、私は好きだ、キミたちには頑張ってほしい、とバリバリに主観を突き付けるポジションは貴重です。出場する芸人も、審査する審査員も、全員が悩みながら勝負しているのがあの舞台。ふさわしいとかふさわしくないなんて議論は無意味。誰も何も答えを持っていない。重責を担ってくれただけで素晴らしいことなので、また来年以降に存在感を発揮して欲しいと思います。

 大吉さんについては何も言うことはないですね。引き受けてくれてありがとう!です。大吉に評価されたい若手は絶対一定数いるでしょうし、巨人師匠の抜けた穴をこれほど的確に埋めてくれる人も他にないでしょう。来年もよろしくお願いします。

 今年はファイナリストの発表より新しい審査員の発表のほうがドキドキしてました。やっぱり審査員は色々な意味で固定が良いです。


 1stラウンド結果

各コンビの点数

 赤字はその審査員の最高評点、青字は最低評点。


 各コンビの感想(1stラウンド前半)


 1. カベポスター (634点・8位)

 「大声大会」ネタ。
 司会の今田も終了一番「見事なトップバッター」と讃えていた通り、素晴らしい大役を果たしてくれました。ネタの構成は並列的ながら、言葉のチョイス、大会のルール、ユリアに求愛する奴など、メリハリと縦横の変化のつけ方が絶妙で聴いていて心地良い。無駄なセリフが1つもない完成度の高い漫才でした。
 邦ちゃんの点数さえ足並みが揃っていれば、トップバッター歴代最高点だった昨年のモグライダー(637点)に匹敵する出来だったでしょう。

 定番のトップバッターじゃなければなあ、、、という妄想も捗るところですが、結果的に今回の面々では上位に食い込むのは難しかったかも。面白いし構成力もあるのだけど、爆発力よりは安定感なので上位のパワー系には見劣りすると思います。平場のコメントも強く十分にインパクト残したので、この結果で良かったんじゃないかと。

 「最初の人が叫んだ言葉からしりとりで繋いでいく、ってルールなんですよ」
 「最後が『ん』で終わらんように大会側がテコ入れしてきてるやん!」



 2. 真空ジェシカ (647点・5位)

 「シルバー人材センター」ネタ。
 超絶優等生のコント漫才で、質も量も高く1つ1つのパンチも強い。古典的も斬新もダジャレもパロディも伏線回収もあり、未来のスーパーAIが作ったかのような漫才。めちゃくちゃ面白い。
 ただ2年連続の5位は、良くも悪くもこのコンビの立ち位置を示した順位ではないでしょうか。「もし私の腰が曲がっているのではなく、あまりの力の差によって・・・お前の視界が恐怖で歪んでいたのだとしたら?」のラスト部分、大吉も指摘していましたが、やや尻すぼんだ印象。もったいない。決定打が無いのか、もう一歩突き抜ける何か。例えるならヒットは打てるがホームランが少ないみたいな。
 ただ実力は群を抜いてるので、来年も決勝に残らない絵が今は想像できない。松本にツッコミの声量がハマらない旨指摘されたのは効いたでしょうね。どのような方向で突き進むのか、勝負の1年となるのではないでしょうか。

 「払い損のところすみません」
 「年金もらいすぎて卑屈になってる! 僕ら世代が文句を言いすぎて!」



 3. 敗者復活・オズワルド (639点・7位)

 「明晰夢」ネタ。
 まず敗者復活戦、令和ロマンとの一騎打ちは熱かったですね。でも(ツイッターにも軽く呟きましたが)令和ロマンはここで勝ち上がって欲しくなかったんですよね。あのネタは面白かったけど、パロディは借り物の世界観なので、M-1を制するネタではないことは本人たちも理解してるはず。敗者復活に特化したネタで、目先の利を追ってる感じがしました。逆に言えばそれだけ敗者復活に賭けていると見ることもできますが。何はともあれここで上がらなかったのは来年以降の良いステップになってるはず。

 オズワルド、鮮度重視の近年M-1で4年連続決勝進出は地力の強さの証。軽妙な掛け合いがしっかり面白い。ただ結果には繋がらず。点数は悪くないのに、審査員コメントも減点要素が多く聞かれましたね。オズワルドの漫才ってすごく繊細で、畠中の異常性、伊藤のテンションが聴衆と絶妙にシンクロしないと成立しないんですよね。2020年と去年の1本目が成功例だと思うのですが、今回は寒さの中から出てきてテンポが速足になり、敗者復活と同じネタで知っていた客がいたこともあったのでしょう、どうも歯車がかみ合いませんでした。

 「今年忙しくてネタ作れなかったんだろうな」「もう売れてるし満足してるんじゃないか」という見方もあるだろう。そう思っている方、ぜひこちらを読んで欲しい。→M-1グランプリ2022/オズワルド伊藤の『一旦書かせて頂きます』
 私は雨が降ろうが槍が降ろうがオズワルドを地の果てまで追いかけて応援したい。

 「伊藤って実はブラックコーヒー飲めないんですよ」
 「そうなんですうー! だって致死量超えた麦茶の味がするから!」



 4. ロングコートダディ (660点・2位)

 「マラソン大会」ネタ。
 飄々とした堂前と顔とセリフだけで面白い兎、まずコンビの地力がすごい。そこにこんな面白いネタを放り込まれたらハマらないわけがない。順当かつ納得の高得点。
 まず大喜利系なのに一発も外さないネタ選び、そしてコントでマイクから距離が離れすぎると昨年指摘されたにも関わらず、大きく変えずにそんな指摘を封じ込めるパワーと構成力。このあたりは堂前のブレーンが強いところが現れてると思います。

 「嘘やろ? お味噌汁持ってる奴に抜かされたー! 世界大会レベル高ーい!」
 「楽しみやなぁ〜」



 5. さや香 (667点・1位)

 「免許返納」ネタ。
 今年のファイナリスト発表もサプライズラッシュでしたが、個人的に一番胸が熱くなったのはここでした。このタイミングでここを持ってくるかと。本人たちは「自分たちがM-1決勝に出てたことなんか誰も覚えてない」と言ってましたが、そんなことはない! ずっと待っていたぞ!という気持ちでした。
 ただその2017年は、結成3年目で期待されるも7位。一定の評価を得たものの世間にインパクトを残すことはできませんでした。そこから5年、ツッコミとボケを入れ替えるなど苦心も見られ、相当試行錯誤したのでしょう。

 34歳で免許を返納したという開幕を起点に、父親が81歳であることの異常に気づく流れ、そこからさらに佐賀のゆるディスを入れていくまでの展開が完璧。4分間のストーリーの密度が濃厚過ぎるTHIS IS 漫才という感じでした。高得点に拍手。
 富澤のコメントでも少し言われていましたが、前半は奇麗にボケとツッコミになってるのに、後半は両方ともボケになってるんですよね。これを見事に使い分けられるのはボケとツッコミの役割を入れ替えた経験が生きてるように思いました。お見事。

 「お前のオトンの元気のMAXは俺の微熱のちょっと下や!」


 各コンビの感想(1stラウンド後半)


 6. 男性ブランコ (650点・4位)

 「音符運び」ネタ。
 昨年敗者復活ベスト3、今年は正面突破。いい位置につけていて実際得点も良かったのですが、あと一歩でしたね。突飛な設定とそれを演じ切ってしまう上手さがあり、特にパントマイムがめちゃくちゃ上手いのか音符が見えるようでした。逆にコントではできない設定を生かした漫才で、強力な二刀流が力を示しました。
 審査員の得点を見ると結構割れていて、4人は高得点でしたが、塙(92点)、大吉(91点)、邦ちゃん(86点)あたりが平均よりやや下。分かりやすいしクセも無いのに、意外と人を選ぶのが面白いなと思いました。

 「ダブルあさま山荘」
 「絶対ダメですよ。あさま山荘ですら1個で終わったんだから」



 7. ダイヤモンド (616点・10位)

 「変な日本語」ネタ。
 「農薬野菜」「シェフの頑張ったサラダ」「定価ローソン」などの変な日本語を羅列し、ボケの反撃にツッコミが翻弄されて精神崩壊する展開。しかし結果は振るわず。審査員からツカミの弱さ、パンチの当たり外れ、ワンパターンなど指摘が相次ぐ結果となりました。
 ウケが続いた中で順番の不運という意見もありますが、個人的に気になったのは聞き取りづらい箇所があったこと、あと序盤の変な日本語の羅列からボケの野澤が「いちいちうるせぇなー!!」と逆襲するところ。ターニングポイントとなる緊張の場面でツッコミの小野が「いちいちうるさいのはお前な!?」同じ熱量で返して緩和できなかった。また、ボケが逆襲に転じてツッコミが精神崩壊するのに、羅列だけでは崩壊に至る説得力に乏しいかもしれない。総じて、地力と経験不足が否めないなと。
 昨年まで審査員だった巨人師匠が自著「漫才論」で「お笑いの基本は結局『緊張と緩和』であり、さらに今は『共感』が要る」と語っていました。これらに課題があったと感じました。

 なんでしょう、想像だけでもの言いますが、ここが決勝に上げられたのは、運営がミルクボーイの再来を夢見たのかなと。ノーマーク、初出場、繰り返しのスタイル、そして名前が「ダイヤモンド」。輝くには至らなかったというところでしょうか。
 M-1の悔しさはM-1でしか取り返せない。決勝の舞台に上がった者だけが抱ける大きな目標ができた幸福を胸に、また帰ってきて欲しいです。

 「お前ナチュラルローソンじゃない普通のローソン、不自然ローソンって言うな!」


 8. ヨネダ2000 (647点・6位)

 「イギリスで餅つき」ネタ。
 2022年、よくぞここを決勝へ送り届けたという運営のファインプレー。その度胸たるや良し。旬を逃すまいとする運営の意気込みを感じる。
 女性コンビですが女性の視点だとか見た目を武器にしてとか、そういうレベルではない。発想が狂気じみている。独特な世界観で勝負するタイプなのではまれば天国、外せば地獄。しかしながら意外と評価は良い寄りに割れましたね。誠(小さいほう)が複数人をしっかり使い分けて観客にそれを伝えられる表現力、技術点の高さも目を見張る。顔見せ以上の成果があったと思います。登場するのが2年早ければ漫才論争が巻き起こっていたでしょう…笑

 まだ結成3年目の怪物ルーキーですが、果たして来年以降の行方が気になるところです。皆が面白さを知ってしまった今、ライバルは自分たち。旬が短い気がして心配です。

 「ワタシたちがイギリスのお正月ダー!!」
 「それを円陣で言えば良かったんじゃない?」



 9. キュウ (620点・9位)

 「全く違うもの」ネタ。
 ここも待望のファイナリスト選出だったんですが、順番に恵まれず9番目のキュウが9位でトリプル9に沈む結果に。
 決勝メンバーでは10組中唯一準決勝と違うネタで勝負してましたが、準決勝ではトップウケに匹敵する納得の通過だっただけに、悔やまれる。どうやら本人たちは決勝でやった今回のネタのほうが気に入ってるのだそうで、名刺代わりとして今回のネタを選んだのでしょう。
 一番ピークを持ってきたい後半にぼた餅とおはぎ、おにぎりとおむすび、鮭とシャケからの「全く一緒でしょー!」「全然楽しくないでしょー!」、この辺があまり予想を超えてこなくて波に乗れない。もっと早く「ステーキとかけまして……」「おぉ! いいでしょー!」に並ぶ山場を持ってきて欲しかった。結果的にラストもピークとならず。残ったモヤモヤ感がそのまま採点に表れた形でした。緩急のつけ方がキュウらしくなかったですね。

 審査員も順番が不運と言ってましたが、どうなんでしょう……、どこに来ても大差なかったかも。同じく順番が生命線のカベポスターとは順位の差以上に対照的だったと思います。

 「生ガキとドッヂボールも全然違うよな」
 「いやお前! 生ガキとドッヂボールは……どちらも『たまにあたる』でしょー!」



 10. ウエストランド (659点・3位)

 「あるなしクイズ」ネタ。
 2020年以来のファイナリスト。元々自虐だったスタイルを毒舌に変化させて、あるなしクイズというテンプレートに乗せる。ちゃんと漫才のシステムに寄せてきたのがハマりすぎてて感動しました。
 「恋愛映画なんて全部一緒だから!」「警察に捕まり始めている!」「あぁ〜佐久間さーん!」など誰もが一度は気になったことがある存在を次々にぶった切っていくさまがとにかく愉快で痛快。「誰も傷つけない笑い」という謎の価値観に大きな風穴を開けてくれました。面白すぎる。

 10組目で3位をまくって最終3組に滑り込み、2本連続で漫才するのは奇しくも2019年のあのぺこぱ以来。笑いの方向性は真逆なのにね。面白いドラマです。

 「そうかーネタの分析とかしてくるうぜーお笑いファンとかいるかー! やめてくれー! おーい! やめてくれー!」「皆目見当違い!!」


 最終決戦

最終結果


 1. ウエストランド (6票・優勝)

 引き続き「あるなしクイズ」ネタ。
 巡り合わせで2本連続となったことで、いわば8分間のネタをできたような形が勝因とみる意見もありました。ただ個人的には連続とはいえCMもインターバルも挟むし、熱量はある程度リセットされるので、もうシンプルにネタが強いのだと考えています。
 世間ではさや香を推す声も多く、私もさや香の完勝だと思いました。ウエストランドの「漫才」は確かに面白かった。でも「M-1グランプリ」としては「M-1もウザい! アナザーストーリーがウザい!」という部分でネタの中に「M-1」というワードが登場していて、メタネタが評価されにくいM-1の不文律に抵触し評価されなくなると思いました。杞憂でしたね。最終的に審査員が票を投じた通り、M-1にそこまでのタブーは無いというM-1の懐の広さだったのかなと解釈しました。あるいは、もうネタではなく本音と受け取られたのかもしれないですが笑

 大会後の審査員の解説を聞いていると「あの日一番会場の空気を支配したのはウエストランドだった」という声がありました。確かに2本目の登場時、「オリジナルのあるなしクイズ考えました」「たまたま大好きなんで」の時点ですでにお客さんが笑ってるのがその証拠に見えます。お茶の間と会場で空気感が異なるのは絶対的に超えられない壁ですからね。我々はテレビでM-1を見ている限りハンデがある。あの日あの場所で空気を掴んだ者が一番の正義だということです。

 これから今までとは違う、敵だらけのチャンピオンの姿を見せてくれるかと思うとワクワクします。ピンの仕事でも二児の父の相方とギャラを必ず折半して、本番前に初出場のヨネダ2000に声掛けしてリラックスさせて、優勝後にしっかり母に電話した井口。本当はすげー優しい奴だとみんなが知るまで大暴れしてもらいたいですね。おめでとうウエストランド!

 「M-1にはあるけど、R-1にはない」
 「夢! 希望! 大会の価値! 大会の規模! M-1は決勝行くだけで人生変わるけど、R-1は何にも変わらないから、夢!」



 2. ロングコートダディ (0票・3位)

 「タイムスリップ」ネタ。
 こんなめちゃくちゃに面白いのに、それでも優勝できないM-1はあらためて厳しすぎる。コント風漫才で勝ち切るならよっぽどインパクト与える発明が必要なんでしょうね。
 ほとんどイチャモンのレベルで注文を付けるなら、遠山の金さんとコロナのワクチン会場、水戸黄門とマリトッツォは100%見間違いによる面白さなのに対して、ラストの江戸の風景と太秦映画村は50%正解で50%間違いなのよね。ここが少し弱く見えたかもしれない。

 誰が言ってたか忘れましたが、「1stラウンドは得点制だが、最終決戦はボタンを押させるかどうかの勝負」であると。ロングコートダディは、得点なら十分。後は最後にボタンを押させる何かを求めるところまで来ているとは思います。来年それを見せてくれるか、集大成を期待したいです。

 「ハンドルを握ってください」
 「あ、これタイムマシンか。原監督かと思った」



 3. さや香 (1票・2位)

 「大人の関係」ネタ。
 もうあまり書くことがなくなってきたので、各審査員が大会後にメディアで語った最終審査投票のコメントを乗せておきます。

 ・松本人志
 「10組目に出てきて3組に勝ち残って1発目で地続きのように見れたのが、完全に笑いを支配をしていた。さや香はすごく良かったし2本合計なら若干さや香の方が良かったかもしれんけど、最後3組になった時は俺はリセットするべきやと思ってて、2本目だけで言うと緊張があった」

 ・中川家 礼二
 「(決め手は)愚痴が好きなんやね。僕も言うたりするから、似てるところもあって。吐き出しながら楽しんでやってんのかな、っていうとこ。皆言うけど、僅差。さや香か、ウエストランドやった」

 ・立川志らく
 「最終決戦の時はとにかく一番会場を沸かしていた人。この人たちはきっとスターになるだろうっていう人に。漫才のテクニック云々ではなく、一番スター性があるだろうなって思う人にいつも入れる」

 ・サンド富澤
 「(さや香は)最初噛んだのかな? それをマイナスにはしてないが、ただそれ1つで緊張が、会場では空気がサッてなる。それでやっぱりちょっと1本目を超えてこなかった、っていうのもある」

 ・ナイツ塙
 「ロングコートダディは流動的なネタではなく笑いの量が減った。さや香かウエストランドで全く互角だったが、ウエストランドを選んだ理由は、この大会の主役の空気を作ったからと、さや香が2本目の最初に新山が噛んで緊張感が伝わった。互角なのでミスで選ぶしかなかった」

 ・博多大吉
 「ロングコートダディは、最後はストレートすぎてお客さんも爆笑ではなく、着地に失敗した感じだった。ウエストランドかさや香か、どっちか。ウエストランドは現代に蘇ったツービート。さや香はやすきよ。今年のM-1のキャッチコピー『漫才を塗り替えろ』で、ツービートよりもやすきよを塗り替えたさや香が一番チャンピオンにふさわしいかなと思った」

 ・山田邦子
 「コンプライアンスが強調される時代に、そのネタでいくんだというところ。皆が避けて通ったことを『この手があったのか』と。毒舌だけど、皆が嫌な気持ちにならなかった。皆がおかしいな、変だなと思ってるところを突いてきていた。すっきりした、スカッとした。そこかな」


 総括 唯一性と限定性の勝利

 大会後にナイツ塙が言っていたのは、ウエストランドが優勝したことで「バカな芸人は急に毒舌漫才始めたりするんですよ。そういうことじゃないから」と発言するなど、二番煎じを懸念していました。個人的にこれは2つ意味があると解釈していて、1つはウエストランドのネタがただの悪口ではない、寄り添いながら突き放す絶妙なプロの職人芸であること。もう1つはこの芸風が来年以降は通用しない今年だけのものであること。
 時代を考えるとウエストランド優勝は今年以外になかったんだろうな、と思うと納得の結果に思えてきます。大会前は信じられない結果ですが。


 採点してみた

 恒例企画、インターネットにいるイタい人っぽく自分で採点してみたのコーナー!

 ねずみ採点

 採点傾向的には大吉が近かったです。以前は志らく師匠と似ていたのですが、近年はどちらかの好みが変わったのか離れてきました。


 今年も一年

 ありがとうございました。

 M-1日記、シンプルに振り返るとか言って全然でした。
 これのためだけにいつまでも個人サイト続けてる説が浮上しそうですが、そんなことはありません。当サイトはポケモンとハム太郎のファンサイトでございます。

 それでは、よいお年を。ピーピカチュでちゅわ。(雑な帳尻合わせ)


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